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【新QC7つ道具】親和図法とは?うまく活用して現場の課題を整理

【新QC7つ道具】親和図法とは?うまく活用して現場の課題を整理

親和図法とは、ある課題に対する事実・意見・発想同士の「親和性」を見つけて統合図を作っていく手法です。新QC7つ道具のひとつとして数えられます。品質管理や現場改善の分野には、改善すべき問題の輪郭がつかめずに解決に踏み出せない事態はつきものですが、親和図法はこうした場合に役立ちます。今回は、親和図法についての概要や類似手法との違い、製造業で活用できる場面から実際の進め方までを解説します。

親和図法

打開すべき現状があるにもかかわらず、何が問題でどうアクションを起こすべきかわからないという事態は、品質管理や現場改善の分野につきものです。

そこで、方法論として現状分析から問題の特定、そして解決策の立案までのプロセスに役立つ「親和図法」という手法があります。

今回は、新QC7つ道具のひとつとして数えられる親和図法について、製造業で活用できる場面から、概要や類似手法との違い、実際の進め方までを解説します。

親和図法とは?

親和図法とは

親和図法とは、ある課題に対する事実・意見・発想を言語データに変換し、言語データ同士の「親和性」を見つけて統合図を作っていく手法です。

別名「KJ法(川喜田二郎法)」とも呼ばれます。文化人類学者の故川喜田二郎氏が、フィールドワークで得たデータを新たな発想に変換するため1967年に考案した研究法が由来です。

現在の親和図法は、品質管理分野における「新QC7つ道具」のひとつとして、将来の漠然とした課題や未知の課題の解決策を導き出すためによく活用されます。

関連記事:新QC7つ道具とは?従来の7つ道具との違いや各道具を解説

親和図法が製造業で活用できる場面

親和図法は製造業において幅広く活用でき、品質管理・現場改善だけでなく、事業戦略の決定や組織改革といった大規模な業務にも役立ちます。

主に現場や事業・組織単位で起きている漠然とした課題や事象を明確にして、課題解決もしくは戦略決定といった次のステップへ進むために親和図法を活用すべきです。

親和図法と相性の良い課題については、以下のような具体例が考えられます。

  • 特定の工程で頻発するミスの原因は何か
  • 自社製品の強みは何の要素によって生まれるのか
  • ルールを徹底できる現場づくりのために何をすべきか
  • 自社製品の品質を全体的に向上させる人材育成方針とは
  • 自社製造工程を一部外注するとしたらどこか

こうした課題に関する親和図を作成すると、既存の事象や事実を構造的に理解したり、新しい発想が生まれる可能性があり、課題に対する答えに近づくことができます。

また、「親和図」という形で図化されるため、関係者への説明資料としても役に立つでしょう。

特性要因図や連関図法との違い

親和図法と特性要因図や連関図法との違い

言語データの関連から定性分析を行う手法として親和図法と比較されるのが、特性要因図(QC7つ道具)と連関図法(新QC7つ道具)です。

それぞれ課題の解決を導く過程に必要である点では共通しますが、図の性質は異なるため、これらを整理してみましょう。

特性要因図は、ひとつの結果(特性)に対し、品質管理の4M(人・方法・機械・材料)の分野に分け、それぞれ特性に影響し得る要因を洗い出していく図です。

そして連関図は、ひとつの結果に対する要因、さらにその要因に対する要因まですべて網羅し、要因同士の繋がりを明らかにする図です。

これらは既に輪郭のある問題をもとに、直接関係のある要因を挙げていき、現状分析や解決策の模索を行うための図法と言えます。

一方で親和図法は、漠然とした問題をテーマとして、それに関連するあらゆる物事を見つけ、問題の輪郭を作るための手法です。

つまり、親和図法で問題を明らかにした後、特性要因図や連関図法でより詳細な問題の検討へ進んでいく場合もあり得ます。

関連記事:新QC7つ道具のひとつ、連関図法とは?活用して現場改善を徹底
関連記事:【図解】特性要因図は課題解決や改善活動に効果的。種類や書き方を解説

親和図法の進め方

親和図法の進め方

それでは、親和図法を実際に進める上での手順を、大きく5つに分けて解説します。今回はチームによる作業、そしてアナログでの作業を想定した内容です。

1.課題に関する言語データを収集する

まずは、設定した課題に関する事実・意見・発想などを言語データとして収集します。

幅広いデータを収集するため、言語データは不特定多数からアンケートなどで外部収集したり、チーム内で内部的に発想していくなど、多角的に収集しましょう。

曖昧で感覚に寄った内容だとしても、まずは有益なデータとみなしておくのがポイントです。

2.言語データを1枚ずつカードに書き起こす

収集した言語データは、ひとつにつき1枚ずつカードに書き起こします。

次の工程は全体の言語データを見渡せる状態が好ましいため、それぞれを見える化するためにも重要な作業です。

作成するカードはつけ剥がしが楽なポストイットなどを使うとスムーズに進められます。

3.親和性の高いカード同士を同じグループに集める

カードを用意できたら、1枚ずつの回し見や俯瞰での観察によって親和性の高いカード同士を同じグループに集めます。親和性の高さは「これらの言語データは似ている」程度の認識で判定しても問題ありません。

批判禁止・自由奔放がルールのブレインストーミング方式で複数人が意見を出しながら作業を進めると効果的です。

次の工程で思考を整理しやすくするため、仕分けたグループには、それぞれの特色に応じたわかりやすい名称をつけましょう。

なお、他と親和性のないカードがあれば無理にグループ分けする必要はなく、作業対象から除外しても構いません。

4.さらに親和性の高い一次グループ同士を同じグループに集める

一次的なグループができたら、次にグループ同士の親和性を見つけ、さらに高次のグループにまとめていきます。

これ以上グループ化できないと思われる最上位グループだけが残ったら、グループ同士の下位・上位の関係を関連線で表し、親和図の完成です。

親和図法を活用して事業にとってより良い選択を

親和図法は、事実の構造化から思考の整理を行い、対処すべき問題や課題に輪郭を与えてくれます。人間の感覚や論理性を総動員すれば、現状を打開できる策が見つけられる可能性は高まるのです。

現場改善から事業戦略まで幅広く応用できるため、不明瞭な物事には積極的に親和図法を活用し、事業にとってより良い選択をし続けていきましょう。

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