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【2019年版】産業用ロボット導入をサポートする行政の全制度まとめ

【2019年版】産業用ロボット導入をサポートする行政の全制度まとめ

産業用ロボットを導入するときに知っておきたいのは、一定の条件を満たした企業が対象になる補助金制度です。政府主導の制度だけでなく、地方の各自治体もそれぞれ独自の制度を定めています。今回は、産業用ロボットの導入をサポートしてくれる補助金制度をまとめて紹介します。

労働力の確保や生産性の向上を叶えることから、近年産業用ロボットがさまざまな企業で導入されはじめています。しかし、ロボットの導入費や維持費など、コスト面での不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

そんなときに知っておきたいのは、一定の条件を満たした企業が対象になる補助金制度です。政府主導の制度だけでなく、地方の各自治体もそれぞれ独自の制度を定めています。今回は、産業用ロボットの導入をサポートしてくれる補助金制度をまとめて紹介します。

【最新版】産業用ロボット導入時に受けられる制度一覧

産業用ロボット導入を補助する制度が設けられた理由は、これまで金銭的コストの問題で導入を断念していた中小企業にも、ロボットによる生産性向上の恩恵を享受してもらうためです。中小企業の倒産は、市場全体に大きな悪影響を及ぼします。行政は中小企業の倒産を防止するため、「固定資産税の特例措置」や「補助金の給付」といった制度を通じて、設備投資を促すようになったのです。

制度の適用条件は企業規模や申請内容によって異なります。また、すでに募集が終了していても、新しい年度になると改めて募集を開始する導入支援制度もあります。常に最新の情報を調べながら、自社に最適な制度をチェックしておきましょう。

生産性向上特別措置法

2018年6月6日に「生産性向上特別措置法」が施行されたことにより、この法律に「先端設備等導入計画」が措置されました。これは中小企業や小規模事業者が、設備投資をきっかけに労働生産性の向上を図るための計画です。対象者は地方税法において、固定資産税の特例を受けることが可能となります。

実際に、この制度によって固定資産税の削減を実現した件数は2018年9月30日時点で1,566自治体・14,272件にも上るとされています。

対象者 資本金額1億円以下の法人、従業員1,000人以下の個人事業主等のうち、先端設備導入計画の認定を受けた者(大企業の子会社を除く)
要件 【減価償却資産の種類(最低取得価格/販売開始時期)】
機械及び装置(160万円以上/10年以内)
器具及び備品 (30万円以上/6年以内)
措置内容 固定資産税の課税標準を、3年間ゼロ~1/2に軽減

参照:生産性向上特別措置法における先端設備等導入計画に関する固定資産税の特例措置について
参照:生産性向上特別措置法に基づく「先端設備等導入計画」の認定状況について
関連記事:産業用ロボットの耐用年数は?固定資産の減価償却を正しく理解する

中小企業経営強化税制

平成29年4月1日の税制改正により、中小・小規模事業者を対象に「中小企業経営強化税制」が創設されました。中小企業・小規模事業者は経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取り組みを申請、認定されることで固定資産税の軽減措置や各種金融支援が受けられます。

また、対象設備も従来の「機械及び装置」に「器具及び備品」が追加され、幅広い領域での適用が可能となりました。

対象設備 【日本ロボット工業会担当の設備】
機械及び装置(産業用ロボット設備、電子部品実装設備)(1台160万円以上)器具及び備品(ロボットに関するもの)(1台 30万円以上)(平成29年度から追加)
対象業種 中小企業投資促進税制に該当する全ての事業
要件 ①中小企業等経営強化法の認定(主務大臣(担当官庁)から計画認定を受ける)
②販売開始要件
③生産性向上指標に係る要件(年平均1%以上)
※②及び③は、日本ロボット工業会が行う証明書発行の対象要件
措置内容 従業員1,000人以下の個人事業主又は資本金3,000万円以下の中小企業 :即時償却又は10%税額控除
資本金3,000万円超且つ1億円以下の中小企業 :即時償却又は 7%税額控除

固定資産税の特例(軽減)措置

対象設備 【日本ロボット工業会担当の設備】
機械及び装置(産業用ロボット設備、電子部品実装設備)(1台160万円以上)
器具及び備品(ロボットに関するもの)(1台 30万円以上)(平成29年度から追加)
対象業種 最低賃金が全国平均未満の地域→全ての業種
最低賃金が全国平均以上の地域→労働生産性が全国平均未満の業種
「機械及び装置」は全国・全業種が対象
要件 ①中小企業等経営強化法の認定(主務大臣(担当官庁)から計画認定を受ける)
②販売開始要件(設備区分毎に定められた期間内に販売された設備であること)
③生産性向上指標に係る要件(年平均1%以上)
※②及び③は、各工業会が行う証明書発行の対象要件
措置内容 固定資産税の課税標準を3年間1/2に軽減

参照:中小企業等経営強化法における経営力向上設備等に関する税制措置について

中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性向上を図るため、一定の設備投資を行った場合に税額控除(7%)または特別償却(30%)の適用を認める措置です。対象となる設備については一部見直しが行われるとともに、適用期限が2019年3月31日までに延長されたため、これから申請することも可能な制度です。

対象者 青色申告書を提出する中小事業者等(資本金:1億円以下の法人等)
従業員数1000人以下の個人事業主 ・農業協同組合等※但し、以下の法人は対象外
大規模法人から1/2以上の出資を受けている子会社
2以上の大規模法人から2/3以上の出資を受ける子会社
対象業種 製造業等
対象設備 機械及び装置(1台160万円以上)(他に4項目あり)
適用期間 平成31年3月31日迄に対象設備を取得等し指定事業の用に供すること
措置内容 個人事業主・資本金3,000万円以下の中小企業:30%特別償却又は7%税額控除
資本金3,000万円超の中小企業:30%特別償却

参照:中小企業投資促進税制

コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)

2018年6月より、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携、利活用により生産性を向上させる取り組みに関する事業計画を作成し、認定を受けることで税制措置が適用できる「コネクテッド・インダストリーズ税制」が創設されました。この制度では、生産性を上げるための取り組みとして、ロボットの導入も対象となっています。

この制度は、要件さえ満たせば業種や資本規模による制限はありません。経済産業省によれば、2019年1月末時点で、24件の企業が計画を認定されています。

また、セキュリティ対策としてデータの不正アクセス対策やシステムの脆弱性がないことなど、IT専門家やセキュリティ専門家の証明が必要です。そのほかにも、生産性向上の目標やデータをどう利活用するかといった内容を含め、詳細をしっかり確認しておきましょう。

対象者 青色申告事業者(業種・資本規模による制限は無し)
課題特例の内容 認定事業計画(認定革新的データ産業活用計画)に基づいて行う設備投資について、税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)または特別償却30%を措置。(税制措置には条件があるため、詳細は経済産業省ホームページを参照)
対象設備 ソフトウェア、器具及び備品、機械及び装置(注:ソフトウェアと共に取得等をするものに限る)
適用期間 2021年3月31日迄(2020年度末迄)
措置内容 特別償却30%又は税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)※上限あり

参照:コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)
参照:革新的データ産業活用計画の認定状況
関連記事:スマートファクトリーとは?メリット・デメリットを事例と一緒に解説

地方行政でも行われている、ロボット導入へのサポート

政府だけでなく、地方自治体が主体となっているロボット導入へのサポート制度もあります。事業所の所在地をもとに、受けられる制度を確認してみましょう。ここでは、地方自治体が行っている制度を簡単にご紹介します。

相模原市産業用ロボット導入補助金

神奈川県相模原市は、生産性向上を図る事業者への支援として、産業用ロボットの導入経費の一部を補助しています。こちらは1,000万円を上限に、ロボット導入に要する経費の2分の1以内(中小企業の場合3分の2以内)が補助されます。

参考:相模原市産業用ロボット導入補助金について

兵庫県ものづくり企業IoT・AI・ロボットの導入支援

ロボットをはじめ、IoTや先端医療、航空・宇宙といった次世代産業分野の支援を行う「ひょうご次世代産業高度化プロジェクト」に取り組んでいる兵庫県は、県内のものづくり企業を対象にロボットの導入の支援を実施しています。

ロボットの導入に必要な費用を50万円〜500万円で補助することだけでなく、ロボット導入における資金の獲得支援、ITベンダーやロボットシステムインテグレータの紹介など、導入時の疑問を解決してくれるサポートも充実しています。

参考:兵庫県ものづくり企業IoT・AI・ロボットの導入支援について

導入コストの課題解決へ。最適な制度を知って上手に活用しよう。

生産性向上を実現するために、産業用ロボットの導入を検討している方も多いはず。しかし、担当者の頭を悩ませるのは、特に「金銭的コスト」の問題でしょう。

国や地方自治体は、こうした中小企業の悩みを解消し、「中小企業の生産性向上」を目標に支援を行っています。今一度、自社が対象となる支援制度を確認し、積極的に申請を行ってみてはいかがでしょうか。

関連記事:産業用ロボットの予算は?最適な導入プランを検討するための計算方法

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