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RFIDが製造業にもたらすメリットとは?

RFIDが製造業にもたらすメリットとは?

「RFID」は物流・交通・小売で注目される無線通信システムです。では、製造業ではRFIDはどのように活用されているのでしょうか。当記事では、RFIDの技術概要から製造業での活用事例までを詳しく解説します。

RFID

交通系ICカードの運用によって認知度が急速に広まった「RFID」技術は、もともと1980年代における製造業界での試験利用が日本での始まりとされています。

今回は、RFIDと製造業の関係を主眼に置き、RFIDの技術概要から、実際の活用・導入事例まで解説します。

RFIDとは?2種類に分類される

RFIDとは

RFID(Radio Frequency Identification)とは、電子情報が格納されている数mm大のメモリ「RFタグ(ICタグ)」と、読み込み装置である「リーダライタ」の間で情報の読み取りや書き換えを行う無線通信システムです。

RFIDの分類

RFIDは、RFタグが情報を発信するために必要な電力の供給方式によって、「パッシブ型」と「アクティブ型」の2種類に分類され、それぞれ以下の特徴があります。

パッシブ型

RFタグにバッテリーが内蔵されない方式です。

RFタグとリーダライタが互いに数cm程度の距離まで近づくことで、電磁誘導やマイクロ波を用いた電力供給が生じ、RFタグからの情報発信を可能にします。

サイズが非常に小さいため薄型のカードなどに収めることが可能です。現在ではセキュリティ・流通・決済などあらゆる分野で活躍する「ICカード」として普及しています。

アクティブ型

RFタグにバッテリーが内蔵される方式です。

アクティブ型のRFタグは、数m程度ならば自ら電波を発信できます。

また、バッテリーが内蔵されるため、センサーを搭載することも可能です。

センサー搭載のタグは「センサータグ」と呼ばれ、温度・湿度や運動・衝撃といった変化する事象について検知した情報を保存、発信するために使われます。

RFIDとIoTとの関係

RFIDとIoT

loT (Internet of Things:モノのインターネット)とは、従来のパソコンやスマートフォンのような通信用端末だけでなく、乗り物や家電などのありとあらゆる「モノ」がインターネットにつながることで社会を高度化させるという考え方、もしくはそれを実現させるための技術一般を指します。

関連記事:IoTの基礎知識と製造業での活用メリット・課題を徹底解説

RFIDは、近年注目を集める超高速・超低遅延の「5G」や省電力広域の「LPWA」と同様、IoT普及に欠かせない無線通信技術のひとつとして数えられます。

交通系ICカードを改札にかざして運賃の決済をしたり、商品タグにRFIDを埋め込むことでレジの読み取り作業を省略したりと、RFIDを利用した仕組みはすでに世の中に普及しています。

製造業におけるRFID

製造業におけるRFID

RFIDとIoTが互いに深く関係する一方、製造業とIoTも非常に強く結びつきます。

近年では製造業においてもIoTソリューションを採用する企業は近年増加しています。中でも、産業分野向けに「IIoT (Indusrty IoT)」という言葉が登場しているほどです。

製造業には、さまざまな課題があります。例えば、工場の敷地が広大な場合だとワークや人員の位置管理は困難ですし、ラインが自動化されると管理業務が複雑化します。

また、熱風乾燥を行う生産現場では、高温環境下で紙の管理がそもそも不可能という状況もあり得ます。こうした課題は、RFIDを用いて人やモノの動きをデータ化して管理することで解消しやすくなります。

また、人員や工数を削減しつつ、不良在庫の解消やリードタイム短縮といった課題への対応も可能です。

具体的にRFIDの導入が効果的な場面は、以下に挙げられます。

  • 入庫プロセス
    製造に必要な原材料を供給する業者からの入庫状況や、実際に入庫された実績の管理
  • 製造プロセス
    生産ラインへの投入実績や作業実績の進捗、工程ごとのワーク・人員の管理
  • 出庫プロセス
    出庫用の完成品在庫状況や、実際に出庫された実績の管理

RFIDを用いた製造業での事例

RFIDとはの事例

それでは、実際にRFIDを用いた製造業におけるIoTソリューションや導入事例を見ていきましょう。

作業実績収集システム

自動認識システムの総合メーカー・株式会社マーストーケンソリューションは、生産現場での作業実績をRFIDによって自動収集するパッケージシステム「WMステーション ver2」を提供しています。

このシステムは、作業開始時と終了時にそれぞれIC作業員証をリーダにかざすだけで、作業実績をデータに残すことを可能にしました。

データは事務所へ連携され、進捗管理や請求業務、作業分析に役立てられます。

従来主流だった手書きの日報で行う進捗管理と比較して、作業員の負荷が少ない簡単操作で正確な記録を取得可能です。また、管理側ではPCからデータを閲覧可能なため、人件費の削減や管理の精度向上といった結果に寄与します。

参考:『物流・製造業向け作業実績収集システム “ WMステーション ver2 ”』株式会社マーストーケンソリューション

クラウド型パレット管理システム

パレット・物流機器の開発・販売を行うユーピーアール株式会社と通信業界大手のNTTコミュニケーションズ株式会社は、パレットなどの物流機材の位置をRFIDによって見える化するシステム「スマートパレット®」を開発・提供しています。

最大の特徴は、物流機材に搭載するRFタグが300m規模の電波を飛ばすアクティブ型という点です。

電波をキャッチするリーダも高精度の機器を使用するため、パッシブ型RFIDやバーコードよりも遥かに正確な在庫位置管理や入出庫管理を可能にします。

パレットの紛失防止や補充費用の最適化、また在庫管理業務の稼働率向上による人件費、運用コストの削減などの導入効果を期待できます。

参考:『スマートパレット|物流機器・輸送機器のレンタル』ユーピーアール株式会社

RFIDと他のテクノロジーで相乗効果を

複雑な管理が伴う製造業において、RFIDを利用したシステムの導入は非常に効果的です。

ただし、RFIDは課題解決の一手段です。RFIDを導入するだけではなく、具体的な効果を明確にしたシステム作りを意識する必要があります。

ほかの無線通信技術(5GやLPWA)や自動化技術(マシニングセンタや産業用ロボット)といったテクノロジーとの組み合わせによって、より高度な生産管理システムが成立するのです。

関連記事:製造業のIoT化に必要な技術ソリューションを紹介

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