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フレキシブル生産システム(FMS)とは?加工も搬送も自動化

フレキシブル生産システム(FMS)とは?加工も搬送も自動化

各工程にかかる作業時間が長い、作業員によって品質に差が出る、といった悩みを抱える製造現場の担当者は少なくないでしょう。あらゆる作業の自動化を図るフレキシブル生産システム(FMS)は、先述した課題の解決に一石を投じます。現在主流になっている多品種少量生産に向いている生産システムです。

各工程にかかる作業時間が長い、作業員によって品質に差が出る、といった悩みを抱える製造現場の担当者は少なくないでしょう。あらゆる作業の自動化を図るフレキシブル生産システム(FMS)は、先述した課題の解決に一石を投じます。現在主流になっている多品種少量生産に向いている生産システムです。

今回はフレキシブル生産システムのメリットや事例などを解説します。

フレキシブル生産システムとは

フレキシブル生産システムとは、多品種・小ロット生産に対応した、柔軟な生産システムです。英語では「 Flexible Manufacturing System」といい、日本では頭文字を取って「FMS」と呼ばれています。

少品種多量生産の時代は、ひとつの生産ラインにつきひとつの製品を作っていました。しかし、時代が変化するにつれ消費者のニーズは多様化し、製品の生産を固定化せず、柔軟に対応するための自動化が進められています。フレキシブル生産システムは、商品によって生産設備を大幅に変更する必要がなく、一定の範囲内で類似品や複数の製品を需要の変動に応じて混流生産できるのです。

フレキシブル生産システムでは、NC工作機械やマシニングセンタなどの加工機械、無人搬送車、産業用ロボットなどをリンクさせます。あらゆる機械が相互にデータを共有できるため、製品の取り付けや加工、取り外し、搬送を一元化できるのです。また加工や搬送のみでなく、組み立てや検査など、製造・物流現場のあらゆる作業で活用されます。

電気製品から、衣服、食品、石油化学、住宅など、変種変量生産が要求される分野に幅広く用いられています。

フレキシブル生産システムを導入するメリットとは

フレキシブル生産システムの導入によるメリットを、従来の生産現場と比較しながら4つご紹介します。

1.人材不足の解消

少子化で各業界の人材不足が進む中、製造・物流業界では特に問題となっています。人手が少なくなると、受注後の作業進行が困難になります。フレキシブル生産システムでは、加工・検査・搬送などの作業をシステムで制御し自動で行うため、たとえ人員が少なくとも作業を進められるのです。

2.教育コストの削減

製造のための作業員が十分に確保できたとしても、作業を覚えて現場で働くには十分な教育が必要です。人には得手不得手があるため、同じ教育を施しても、覚えるスピードやモチベーションの変化などによって、スキルに差が生まれてしまいます。フレキシブル生産システムでは、具体的な作業を産業用ロボットや無人搬送車などの機械が行うため、人間の業務はそのコントロールや監視だけで済みます。

3.製造時間の短縮・安定

加工や検査、搬送などに作業員を配置すると、ひとつひとつの作業にかかる時間がまばらになります。たとえば、多品種の製品を加工する場合、製品によって扱う治具や加工する面が異なるため、手間がかかってしまうのです。フレキシブル生産システムでは、産業用ロボットとセンサを併用し、製品ごとに自動で作業を振り分けられます。その結果、製造時間を短縮でき、一定の間隔で安定した作業が可能になるのです。

4.ヒューマンエラーの減少

人の手で作業を行う場合、集中力や技術力、経験など作業員によって加工や検査に違いが生まれてしまいます。また、暑い寒いなどの環境にも左右されるため、ヒューマンエラー(人為的ミス)は避けれられません。フレキシブル生産システムでは、NC工作機械やマシニングセンタ、センサが機械的に作業を行うため、ヒューマンエラーを防ぎ、常に安定した高い作業効率を維持できるのです。

フレキシブル生産システムを導入し、成功した事例

フレキシブル生産システムには多くのメリットがありますが、実際に取り入れることで生産効率が向上した事例をご紹介します。

工程の数を10分の1以下に削減

日本を代表する、とある自動車メーカー企業は部品の機能や構造、基準を「固定」、寸法を「変動」と定義し、製品によって組み合わせて開発に取り組んでいました。部品の規格が定まると汎用性が生まれ、開発から設計まで一括で効率的に生産ラインを組めるのです。

この自動車メーカーは、さらにフレキシブル生産システムを導入し、機械を停止することなく、ひとつのラインで多様な製品を生産できるように変えました。「固定」と「変動」の組み合わせで設計した製品の柔軟な生産に成功したのです。具体的には、ひとつのラインで45工程あった製品を4工程に集約しての生産に成功しました。これによって、リードタイムと設備投資の大幅な削減につながったのです。

参考:マツダのコモンアーキテクチャとフレキシブルライン生産を支えるデジタル変革

多品種少量生産にも関わらず、生産量が1.4倍に

とある事務機メーカーでは、パーティションの製造にフレキシブル生産システムを導入しました。パーティションとは、オフィスの一角を間仕切る衝立(ついたて)です。企業によってレイアウトが異なるため、パーティションも企業ごとに多品種を少量生産しなければなりませんでした。

この事務機メーカーはパーティションの製造過程において、製造条件の切替、生産実績の収集や集計をすべて手作業で行なっていました。そこで、フレキシブル生産システムを取り入れた結果、製造プロセスの一元化や検査データの統計処理ができ、従来の1.4倍にも及ぶ生産量を実現したのです。

参考:『ソリューション成功事例』立花エレテック

フレキシブル生産システムは製造現場で必須

産業用ロボットや加工機、無人搬送車などの機械の導入・結合は、いまや現代の製造・物流現場では必須です。政府も「ファクトリーオートメーション」という形で工場の自動化を積極的に支援しています。自動化機械の中でも、産業用ロボットは特に注目度が高い機械です。経済産業省が導入支援のために補助金を出すなど、以前と比較しても導入が容易になっています。産業用ロボットにはさまざまな種類があり、用途によって使い分けられているので、導入を検討している方は以下の記事を参考にしてください。

参考記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

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