産業用ロボットの耐用年数は?固定資産の減価償却を正しく理解する

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近年、高性能化や低価格化により、中小企業への導入が増えている産業用ロボット。産業用ロボットの導入を検討している場合、経営者はロボットがもたらす利益だけでなく、導入費用も正確に把握し、企業の展望に見通しを立てることが重要です。

企業が資産を購入したときは、その費用を一括で計上するのではなく、購入資産の「耐用年数」に応じた期間に分けて計上する「減価償却」という方法を用います。企業が産業用ロボットを導入する際の計上方法も、減価償却です。

そこで今回は、耐用年数と減価償却それぞれを解説に加え、産業用ロボットの耐用年数もご紹介します。

「耐用年数」と「減価償却」

まずは、耐用年数と減価償却について解説します。耐用年数と減価償却は密接な関係にあるため、どちらか片方ではなく両方の概要を正しく理解することが重要です。

減価償却とは

減価償却とは、長期間にわたって使用する固定資産の支出を、その使用期間にわたって費用配分することです。

数年間にわけて計上する理由は、収益を得るために資産を利用した期間に応じて費用を計上し、企業の業績をできる限り正しく捉えることを目的とする「費用収益対応の原則」があるからです。

もし、産業用ロボットを導入した年に全額を費用として計上してしまうと、年間収益が平年と同水準でもその年だけ利益が極端に低くなり、翌年から利益が増大してしまいます。この間に、企業の業績が悪化したり、伸びたりしているわけではないので、会社の状態が会計上で正しく判断できなくなってしまうのです。

分割して計上する際の目安となる期間が必要になります。それが、耐用年数です。

耐用年数とは

耐用年数とは、「減価償却する資産が利用に耐える」とされる年数を指します。減価償却の計算を行う際に、必要となる指標です。

耐用年数は、小型車やパソコンは4年、金属製の事務机やキャビネットは15年といった、財務省が定めた「法定耐用年数」があります。費用を計上する期間は企業が自由に設定できますが、たとえ短期間で償却して利益を小さくしても、税法上においては法定耐用年数をもとに計算され課税されます。耐用年数を自由に設定した場合、会計上の数字と税金に差異が生じて会計処理が煩雑になってしまうため、一般的には法定耐用年数で償却することが多いです。

参考:『減価償却資産の耐用年数等に関する省令』別表第二 機械及び装置の耐用年数表

作業内容によって異なる!産業用ロボットの耐用年数

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産業用ロボットの耐用年数は、一律で定められているわけではありません。ロボットの種類や作業内容によって耐用年数が変わります。その中から、いくつか引用してご紹介します。

設備の種類 細目 年数
食料品製造業要設備   10
木材又は木製品(家具を除く。)製造業用設備   8
電子部品、デバイス又は電子回路製造業用設備 光ディスク(追記型又は書換え型のものに限る。)製造設備 6
  フラットパネルディスプレイ、半導体集積回路又は半導体素子製造設備 5
  その他の設備 8

引用:『減価償却資産の耐用年数等に関する省令』別表第二 機械及び装置の耐用年数表

機械や装置の区分は、以前は390区分もあり、その数だけ耐用年数が細かく定められていました。しかし2008年度の税制改正によって、機械装置の区分は55区分にまとめられ、機械にまつわる耐用年数がわかりやすくまとめられました。

参考:償却資産(固定資産税)の 耐用年数が変わりました!

「定額法」と「定率法」どっちを使う?減価償却の計算方法

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減価償却の計算方法は、それぞれメリットが異なる「定額法」と「定率法」の二つがあります。償却方法は会社が自由に選択可能ですが、規定された申告期限までに税務署へ届出をしない場合、法定の償却方法が適用されます。機械や装置は、「定率法」が法定償却方法です。自社の業績や展望を見極めて、償却方法を選びましょう。

それでは実際にロボット導入を検討しているとき、どのようにコストを見積もればよいのでしょうか。

会計処理が簡単で見通しが立てやすい「定額法」

定額法とは、購入金額を耐用年数の期間で同額ずつ償却していく計算方法です。毎年同じ金額を費用として計上するため、会計の処理がしやすいことが特徴です。償却金額が一定かつ処理も難しくないため、今後の資金計画を立てやすいというメリットがあります。

【計算式】
減価償却費=購入金額÷耐用年数

例)価格150万円の設備の耐用年数を8年とし、1月1日に購入した場合
※耐用年数8年の場合の定額償却率を、0.125として計算。

年数 費用計上 残高
1年目 187,500円 1,313,500円
2年目 187,500円 1,125,000円
3年目 187,500円 937,500円
4年目 187,500円 750,000円
5年目 187,500円 562,500円
6年目 187,500円 375,000円
7年目 187,500円 187,500円
8年目 187,499円 1円

期の途中で購入した場合は、月割りします。また、最後に1円だけ残している理由は、帳簿上にその資産を「備忘価格」として残すためです。

備忘価格とは、実質的な価値がなくなった資産を帳簿に記載する時に用いられる数字です。資産額を全て償却してしまうと、帳簿上は資産がなくなってしまいます。会計上の処理において仕訳困難に陥ることを防ぐため、その対策として、1円を備忘価格として残しておくのです。

費用を早く償却でき、節税対策になる「定率法」

定率法は、残っている資産の価値に対して一定の割合で償却する計算方法です。最初の償却額は大きくなりますが、年々下がっていくことが特徴です。会社に安定した利益が出ている場合、早めに投資額の回収を行うと、経営の見通しは立てやすくなります。また、定率法は費用を大きく計上できるので利益が小さくなりやすく、税金対策としても有効です。

【計算式】
減価償却費=購入金額(残存価格)×償却率

例)価格150万円の設備の耐用年数を8年とし、1月1日に購入した場合
※耐用年数8年の場合の定率償却率を、0.25として計算。

年数 費用計上 残高
1年目 375,000円 1,125,000円
2年目 281,250円 843,750円
3年目 210,937円 632,813円
4年目 158,203円 474,610円
5年目 118,652円 355,958円
6年目 118,889円 237,069円
7年目 118,889円 118,180円
8年目 118,179円 1円

算出した償却額が「償却保証額」より少なくなった年以降は、毎年定額で償却することになります。償却保証額は、購入金額を耐用年数によって定められた保証率と掛け合わせて算出します。

定率法は利益が十分に発生している企業が節税対策で行うことが多いため、中小企業は毎年定額で少しずつ償却する定額法を採用していることがほとんどです。計算方法を選択する際は、専門家に相談してみるのもよいでしょう。

参考:減価償却資産の耐用年数等に関する省令

投資額の回収プランは念入りに検証

産業用ロボット導入は決して安くない出費です。会社の将来を左右する大きな買い物であるといっても過言ではありません。ロボットを導入するためには、企業の業態や業績、現場の課題など、様々な観点での判断が必要です。その中でも、投資額の回収プランは特に念入りに検証しましょう。

近年は、国や自治体で産業用ロボット導入を支援する補助金制度も充実しはじめています。こうした制度を活用するためには、今後の展望をふまえた事業計画書の提出が必要です。産業用ロボットの導入を成功させるために、減価償却の計算もふくめた、事前準備を十分に行いしましょう。

関連記事:ロボット導入は補助金を活用!知っておきたい受給対象事業と申請時のポイント

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