2019/03/18

【RPA解説・導入編】業務効率化を成功させる導入計画の流れと注意点

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現在、「ホワイトカラー」と呼ばれるバックオフィス系の業務効率化を実現するRPA「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」が注目を浴びています。本メディアでは、RPAを複数回にわけて取り上げています。前回の記事では、RPAが概念とツールに分かれることだけではなく、AI「Artifical Intelligence(人工知能)」やSaaS「Softwere as a Service(ソフトウェアアズアサービス)」との違いなどの仕組みについて解説しました。

今回は、RPAの仕組みを押さえた上で、具体的にどのように導入を進めればいいのか、その流れや注意すべきポイントなどを解説します。

前回記事:【RPA解説・基本編】AIやSaaSとの違いやメリットとは?

目的を達成するために知っておきたい。RPAツール導入計画の流れ

RPAツールを導入すれば、自動的に業務効率化が実現できるわけではありません。RPAツールが自動化を実現できる理由は、ツール内の「ロボット」や「デジタルレイバー」と呼ばれるプログラムが作業を代行してくれるからです。RPAツールを活用するためには、「どんな業務をどのように行うのか」といった現状整理が必要なだけではなく、導入を推進するための体制構築や、トラブルへの備えといった準備も必要です。

RPAツールを導入するためには、具体的にどのような流れで計画を進めていけばよいのか、以下の図にまとめました。

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上図に記載されているそれぞれの項目で、具体的に行うべき業務をご紹介します。

1.目的の明確化『具体的な数値まで落とし込む』

最初に行うべき業務は「目的の明確化」です。新しい計画に取り組む際、当初の目的を見失い、「計画を完遂すること」自体が目的になってしまうケースもあります。RPAツールの検討をはじめてから導入が完了するまで数ヶ月かかることもあるため、計画の途中で目的を見失わないようにしておきましょう。

目的を明確化するときは、「業務を効率化する」といった文言に留めるのではなく、「業務効率10%アップ」のように具体的な数字まで定めておくと、目的を達成できているかどうかを客観的に判断できます。また効率化がもたらす利益から、適切な投資コストも算出できるため、目的の明確化は非常に重要です。

2.体制構築『現場に精通した担当者を巻き込む』

RPA導入と業務効率化の実現には、現場との協力が欠かせません。計画を進める際は、業務効率化を推進する管理部門の担当者だけではなく、現場の状況に詳しい担当者を交えた体制を組成すると、現場との連携が取りやすくなります。

取り組みのスピードだけを意識して現場の意見が反映されない体制を構築してしまうと、実際に導入できても期待した成果が得られなかったり、最悪の場合、現場から協力が得られなかったりする可能性もあります。

RPAツール導入に費やした予算や時間を無駄にしないためにも、現場の声を取り入れられる体制の構築を心掛けましょう。

3.自動化業務の選定『自動化の効果が高い定型業務を見極める』

体制を整えた後は、導入フローのなかで最も重要な工程である「自動化業務の選定」を行います。この時に重要なポイントは、「RPAツール導入の効果が最も高い業務の見極め」です。

RPAツールが業務効率化をもたらす理由は、ツール内のプログラムが「AのときにBをする」といった分岐処理を用いることで、高速かつ正確な作業を行えるからです。この特徴は、データ入力や資料整理、型が決まっている書類作成といった、一定のパターンがあり、マニュアル化できる「定型業務」には対応できます。しかし、パターン化できず一定の型がない「非定型業務」には対応できません。

定型業務に割いている従業員や時間が多いほど、RPAツールに置き換えたときの効果は高まります。社内の定型業務は数多くあるため、どの業務を自動化すれば効果が最大化できるか、現場からのヒアリングなどを実施しながら見極めるとよいでしょう。

4.ツール選定『機能や価格だけではなく、サポート範囲も要確認』

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自動化する業務に目星がついたら、RPAツールを選定する工程に入ります。操作性や機能が異なるさまざまなRPAツールが販売されているため、できるだけ多くのツールを比較しましょう。

現場の従業員が無理なく使用できるか、目的を達成するために必要十分な機能を備えているか、費用は適切かなどの観点からツールを絞り込んでいきます。また、ツールを提供している企業のサポートがどれだけ充実しているかも重要なポイントです。

RPAツールの導入には、専門的なITスキルが必要になります。導入時に既存システムとの統合を行いつつ、新しいシステムを構築するだけではなく、運用時のトラブル対処も求められるからです。社内にITの知見がある従業員がいない場合、提供元の企業からサポートが受けられなければ安定した運用は難しいため、事前にサポート範囲を確認しましょう。

5.試験導入『想定外のトラブルや効果検証を小規模で行う』

ツールの選定が終わっても、すぐに本格的な導入を行うわけではありません。試験導入を小規模で行い、導入前にはわからなかった想定外のトラブルを洗い出します。本格導入と同じ環境で運用してみることで、必要な作業を過不足なく実行できているか、業務効率は上がっているかなど、想定していた効果が得られているかの最終確認が目的です。

また試験導入で得られたデータをもとに、上手くいった点や上手くいかなった点を整理し、必要に応じて改善策を立てると、本格導入の際に安定した運用と業務効率化を実現しやすくなります。

6.本格導入『運用開始は業務効率化のスタートライン』

試験的な導入で発見した課題への対策が講じられたら、本格的な導入を行います。このとき、RPAツールは現場の従業員にとって新しいシステムになるため、マニュアルを用意したり、使い方の勉強会を開催したりするなどの研修も同時に実施しましょう。

RPAツールは「導入して終わり」ではなく、「導入からが課題解決のスタート」であることを忘れてはいけません。最初に定めた目標の達成に近づいているのか、効果検証と改善を常に繰り返しながら運用していくことが求められます。運用によって得られたデータを活用して、自動化する業務を拡大することで、さらなる業務効率化を進めるとよいでしょう。

導入計画を進める際の注意点

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入念に準備した上でRPAツールを導入しても、業務効率化や課題解決が思うように進まず、計画が失敗に終わってしまうケースもあります。こうした事態を避けるために、RPAツール導入を進めるにあたって、特に意識しておくべき注意点を2つご紹介します。

注意点1.業務内容の細分化や整理を徹底する

RPAツールを導入するときに、最も重要なポイントが「業務内容の細分化と整理」です。RPAツールではプログラム型ロボットが作業を代行するため、一つひとつの作業をプログラムが判断できるレベルまで細分化、単純化しなければなりません。また、それぞれの作業が業務全体でどんな役割を担っているのか整理する必要もあります。

作業の細分化や役割の整理が不十分だと、RPAツールを操作する従業員の手間がかえって増えてしまいます。「自動化業務の選定」の工程で十分な時間をかけて、業務の細分化と整理を行いましょう。

注意点2.RPAツール導入はスモールスタートが基本

RPAツールは定型業務であれば自動化が可能です。定型業務はバックオフィス系の業種に多く存在しますが、すべての定型業務を一度に自動化するのは避けたほうがよいでしょう。

新しいツールやシステムを導入する際は、どれだけ準備しても、想定外のトラブルが発生したり、上手く計画が進まなかったりします。導入を小規模で行うことで、上手くいかなかったときのリスクを小さくできるだけではなく、業務範囲が限られているため効果検証も行いやすくなります。

入念に準備した上で導入計画を進める

RPAツールは業務効率化の方法として注目が集まっているため、「とりあえず試してみよう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、RPAツールの効果を最大限発揮させるためには、正確な現状把握や入念な準備が必要です。もし試験的な導入規模でも、RPAツール導入に費やす金銭的、人的コストは決して小さいものではありません。

導入コストに見合う効果が得られるように、現場の声を取り入れる体制構築や目標を達成するための計画立案を行いましょう。新しいツールの導入で不明点がある場合、早い段階でロボットSIerをはじめとしたコンサルティング会社に相談すると、計画をスムーズに進められます。社内に導入のノウハウがない場合、専門家のサポートを検討してみてください。

関連記事:ロボットシステムインテグレータとは?導入プロセスや補助金を紹介

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