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ロボットビジョンとは。画像認識で省人化と作業効率の向上を実現

ロボットビジョンとは。画像認識で省人化と作業効率の向上を実現

画像処理によって産業用ロボットを助けるロボットビジョン。産業用ロボットをより有効に活用するために不可欠な技術です。ロボットビジョンを導入することで、「ティーチング」の時間や作業員への教育コストを抑えられます。今回は、ロボットビジョンの仕組みや従来の産業用ロボットとの違い、メリットを解説。

製造業界は、社会的な少子高齢化の影響を受け、労働人口の減少が深刻な問題になっています。そのため、産業用ロボットを活用し、生産性の向上を図ろうとしている製造工場は少なくありません。

しかし、産業用ロボットの導入によって工場全体を自動化することは難しく、ロボットに動作を覚えさせる「ティーチング」や、定期的なメンテナンスには人の手が必要不可欠です。さらに、このような作業には知識や経験も必要であり、作業員に一連の業務を習得させるためには、教育コストもかかります。

こうした課題を解決するために開発が進んでいるのが、ロボットビジョンを搭載した産業用ロボットです。ロボットビジョンを搭載したロボットは、ティーチングをはじめとした運用コストの削減や、スペースの有効活用が期待されています。

今回は、ロボットビジョンの仕組みや従来の産業用ロボットとの違い、メリットを紹介します。

ティーチングレスを実現する技術。ロボットビジョンとは

産業用ロボットに搭載される視覚機能をロボットビジョンといいます。カメラに映した画像を処理し、パターン認識によって対象を識別したり、周囲の環境を把握したりする技術です。

一般的に産業用ロボットは、正常に作動させるためのプログラムやカスタマイズを行わなければなりません。この作業をティーチングといいます。生産ラインを立ち上げる時や、扱うワークを取り替える時に必要な作業です。ティーチングの方法はいくつかありますが、ティーチングペンダントと呼ばれるリモコンでロボットを動かして動作を記憶・再生しながら確認する方式が一般的です。この方式を「ティーチングプレイバック方式」といいます。ティーチングプレイバック方式は、ティーチングをする度に作業を中断するため、時間的なロスが生じてしまいます。

関連記事:【資格取得が必須】産業用ロボットの主なティーチング方法4選

また、ティーチングは産業用ロボットに近づいて行うケースが多く、接触事故の危険性があります。そのため、ティーチングを行う作業員には、資格の取得が義務付けられています。ティーチングには知識や経験が必要であり、作業員に一連の業務を習得させるためには、教育コストもかかってしまうのです。

関連記事:産業用ロボットの作業には資格が必須。特別教育の講座内容も解説

ロボットビジョンを活用すれば、画像処理によってワークの位置・角度を認識しながら調整ができるため、ティーチングにかかる工数の削減が可能です。また、ティーチング技術者の育成コストもかかりません。

ロボットビジョンの仕組み

ロボットビジョンは、どのようにしてティーチングレスな産業用ロボットの実現を図っているのでしょうか。ロボットビジョンの作業プロセスは以下になります。

  1. 記憶:対象となる製品の「形状」、「大きさ」、「つかむ部位」を事前にカメラで把握し、記憶
  2. 認識:カメラで対象製品の位置座標と、傾いている角度を認識
  3. 処理:事前に登録しておいた情報と、カメラからの情報をもとに対象製品の場所とつかむ位置を特定
  4. 作動:アームを指示された位置に移動させ、対象製品をつかみ、所定の場所にピッキングや搬送

一度カメラで記憶すると、製品が整頓されておらず、不規則な積まれ方をした「バラ積み」の状態でも、製品ひとつひとつを認識できるようになるのです。

ロボットビジョンを導入する3つのメリット

産業用ロボットにロボットビジョンを導入すると、どのような作業が行え、どのような効果があるのでしょうか。今回は3つのメリットを紹介します。

メリット1.製品を整理する必要がない

ピッキングや搬送などの作業を産業用ロボットが行う場合、プログラムで決められた動作を実行するため、流れてくる製品を配置する向きや製品と製品の間隔を一定にしなければなりません。製品の流れに少しでもプログラムと異なる挙動があると、ロボットは対応不可能になり、生産ラインが停止してしまいます。

ロボットビジョンを搭載すれば、製品の位置や角度など、細かなプログラムを設定せずに、アームの制御を柔軟に行えます。製品の形状や大きさを一度記憶すれば、製品の向きや位置が不規則であってもアームの作動が可能になるのです。その結果、エンジニアが様々なパターンに合わせてプログラミングしたり、定期的なメンテナンスを行う必要がなくなり、省人化や作業時間の短縮につながります。

メリット2.多種類の製品に対応している

従来の産業用ロボットでは、扱う製品が変わるたびにティーチングを行わなければなりませんでした。なぜなら、製品の形状や大きさが違うと、ロボットに組み込まれているプログラムの定義も変更する必要があるからです。

ロボットビジョンでは、画像認識で対象を識別するため、一度に複数の製品情報を記憶できます。ひとつのコンベアに複数の製品が入っていたとしても、製品別にピッキングを行い、別々のパレットに並べられます。商品ごとにロボットやセンサー、カメラなどの機材を設置する必要がなくなるため、スペースの有効活用にもつながります。

メリット3.複数作業が同時にできる

ロボットを導入しても、一台につきひとつの作業しか行えず、工程が変わるとまた別の設備を用意する必要がありました。

そこで、ロボットビジョンを搭載することによって、複数の作業工程を同時に行えるようになります。たとえば、製品の検査とピックの位置決めにはロボットを個別に設置しなければなりませんでしたが、ロボットビジョンでは1台のカメラでピックする位置を確認でき、寸法などの検査も同時に行えるのです。そのため、設備にかかる費用を抑えられます。

ロボットビジョンで工場の自動化を促進

省人化や、コスト削減のために産業用ロボットを導入しても、ロボットを制御するために人員やコストが発生してしまっては、作業の効率化を図れず本末転倒です。

ロボットビジョンを導入し活用することで、ティーチングが必要ない自動化された製造工場の実現が可能になります。

これから産業用ロボットを導入しようと考えていたり、すでに導入している産業用ロボットをより一層効果的に活用したい方は、ロボットビジョンの搭載を検討してみてはいかがでしょうか。

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