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新QC7つ道具のひとつ、連関図法とは?活用して現場改善を徹底

新QC7つ道具のひとつ、連関図法とは?活用して現場改善を徹底

品質管理と現場改善を定性的な現状分析から行うための「新QC7つ道具」から、連関図法をピックアップして解説します。どのような手法で、どのような分析に活用できるのか、実際に連関図法を進める手順などを網羅していきます。

品質管理で問題は、現場によって多様なため、定型化することはできません。そこで各自が現状を分析することで、課題の解決までの道筋を自ら確保する試みが重要になってきます。

今回は、品質管理と現場改善を定性的な現状分析から行うための「新QC7つ道具」から、連関図法をピックアップして解説します。どのような手法で、どのような分析に活用できるのか、実際に連関図法を進める手順などを網羅していきます。

連関図法とは? 特性要因図との違いも紹介

連関図法とは、”原因と結果”や”目的と手段”などの相関について、それぞれの因果関係を”連関図”に整理する手法です。この手法は「新QC7つ道具」のひとつとして、主に製造やシステム開発の分野で重宝されており、品質や現場に関わる課題を定性分析する際に役立ちます。

連関図を構成するのは、以下の要素です。

  1. 中核となる課題
  2. 課題と関係しうる全ての要因(一次要因)
  3. 一次要因のさらなる要因(二次要因以降)
  4. 上記要素の因果関係を表現する矢印

上記1~3の要素間にある”関係”を4の矢印で”連ねる”ため連関図と呼ばれています。すなわち、現状抱える課題の全体像と、因果関係の詳細を同時に見ることができる構造といえます。

特性要因図との違いから見る連関図法の特徴

連関図法と混同されやすいのが、元祖「QC7つ道具」の1つ「特性要因図」です。この図は、1つの結果(特性)とその要因を整理する目的で使われるため、連関図法と似た性質をもっています。ただし、特性要因図はそれぞれの要因が結果に向かって一直線に伸びる構造をしており、要因同士の因果関係を表現できません。

連関図はさきほど構成を示したように、課題と関係する要因を客観的に洗い出し、その全てに因果関係を見出す工程で作成します。特性要因図とは異なり、要因が複雑に絡み合っている場合に作成すると大きな効果を発揮するのが、連関図法最大の特徴です。

参考記事:新QC7つ道具とは?従来の7つ道具との違いや各道具を解説
参考記事:【図解】特性要因図は課題解決や改善活動に効果的。種類や書き方を解説

連関図法のメリットと活用法とは?

連関図法の定義と特徴がわかったところで、次に「どんなメリットがあるのか?」「どう活用すればよいのか?」という観点で解説を進めていきます。

連関図法のメリットは主に以下の3つが挙げられます。

  1. 要因同士の意外な繋がりから発想の転換が可能
  2. 他の要因と関連が強い”主要因”を炙り出せる
  3. 図の作成結果を第三者に説明しやすい

連関図法のメリットは、課題の解決策と優先順位を客観的・論理的に導き出し、その結果を現場で共有できる点です。また、数値データを使う定量分析ではないため、統計のような専門知識も必要ありません。

連関図法はグループ作成で活用する

連関図法の活用は現状分析に特化しているため、分析が精密なほど最適な解決策を打ち出せます。精密な分析を実現するためには、グループで連関図作成を行うと非常に有効です。単独で連関図法を実施すると、単なる個人の思考整理で終わってしまう可能性がありますが、グループで実施すれば客観性が確保でき、合意形成も容易になります。

また、連関図を作成するグループと、その作成内容を検討するグループの最低でも二段階に分けると、より精度が高い結論を出すことが可能です。

産業用ロボット導入における活用例

連関図法は産業用ロボット導入の際にも活用が可能です。ロボット発注者側の企業が現場課題を連関図でまとめておけば、ロボットSIerとの要件定義の段階では重要な情報として使えます。専門知識をもつロボットSIerならではの観点で、連関図の内容がさらに充実する可能性もあります。つまり、どこを自動化すれば現場改善になるのかが明確になる結果が期待できるのです。

先述した連関図法のメリットにある、「第三者に説明しやすい」という箇所は、上記の結果を掴むための鍵となるポイントです。連関図は説明資料の一種としてドキュメント化することもおすすめします。

連関図法の手順を解説

連関図法に必要な道具は、複数人で囲める程度の大きさをもつ模造紙をベースに、要素を書き出すためのカードやペンなどが一般的です。この他、統計解析系のソフトウェアでデジタルに作成する方法もあります。

では、現場改善を例に、紙を使った連関図の作成について解説していきます。

手順1.メインテーマの決定

まずは連関図の起点となる課題をメインテーマとして決めるところから始めます。この工程は図を作成する前提なので、なるべく具体的に、かつ根が深い課題から抽出しましょう。図面上ではカードに赤字で書き起こして中央に配置します。

(例)
「なぜ~の工程で作業効率が上がらないのか」

手順2.一次要因の探索

メインテーマが決まったら、そのテーマの直接的な原因となっている一次要因を探索する工程に入ります。二次要因以降の探索作業の質に関わるので、十分に検討すべきポイントです。一次要因から黒字でカードに書き起こし、図の作成メンバーに各自5つほど提出してもらった上で、最終的に3~5つまで絞り込んでいきます。

(例)
「~の作業現場の人間関係が悪い」
「~の作業は人力での難易度が高い」

提出されたカードは、メインテーマに向けて矢印を伸ばす形で周囲に配置します。要因に関連する数値データや画像がある場合は、カードの付近に貼り付けておくと対外的な説得力がアップします。

手順3.二次要因以降の探索

一次要因が十分に絞り込めたら、続いて各要因のさらなる要因となる二次要因を探索していきます。二次要因にさらに要因が存在する余地があれば、「なぜ?」を繰り返して三次・四次と掘り下げていきます。結果から原因を探知する意味では、一次要因のときと同じアプローチで進めていくのが原則です。

(例)
一次要因「~の作業は人力での難易度が高い」
二次要因①「~の作業は教育やマニュアルが充実していない」
二次要因②「~の作業は自動化されていない」

可能な限りで要素を洗い出したところで、メインテーマを中心に要因が広がっていく図面が出来上がります。

手順4.要因同士の因果関係を発見

要因をすべて洗い出したら、全体を眺めて因果関係のある要因同士を矢印で結んでいきます。ここでは今まで気付けなかった意外な事実が浮かび上がることがあり、連関図法の本領が発揮されるタイミングです。新たな事実をもとに要因の追加矢印の修正を行い、メインテーマを中心とした要因同士のネットワークを正確に構築しましょう。

手順5.主要因の特定

連関図の全体像が仕上がったところで、メインテーマに大きな影響を及ぼしている”主要因”を特定します。ディスカッションを通じて要因ごとに点数で重み付けを行い、点数が多い1~3つを主要因とみなす手法が一般的です。とくに他の要因から矢印が多く集中している要因や、二次要因以降に探索された要因を目安に高い点数を付けていくと、本質に迫った主要因を特定しやすくなります。図面上では、特定した主要因は色分けや太字で強調しておきましょう。

ここまでの手順で、連関図法は一通り完成です。あとは草案を叩き上げて、より完成系に近づくまで手順を繰り返します。

連関図法を活用して現場の改善に取り組む

連関図法はあるべき姿と現状のギャップを埋めるための分析として、品質向上や現場改善に大きく役立ちます。とくに要因同士の因果関係を明確にするので、今まで見えなかった点と点が線で結ばれることもあります。現場の関係者なら誰でも参加できる敷居の低さを利用して、積極的に課題の共有と改善を実施していきましょう。

もしロボット活用や現場の課題についてお悩みの場合は、ぜひロボットSIerにご相談ください。問題点の抽出や改善施策のご提案、補助金申請のサポートまで、経験豊富なエンジニアが御社のお悩みを解消いたします。

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