製造物責任法(PL法)とは?2020年民法改正による変更点も解説

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製造物責任法

製造現場で働く方にとって、自社の製品による事故・アクシデントはなるべく避けなければなりません。だからこそ、徹底した品質管理を日々行っています。しかし、数千、数万の製品を供給している工場では、その中にあるひとつの製品によって、消費者に被害を与えてしまう可能性はないと言い切れません。

その際に適用し得る法律のひとつが「製造物責任法(PL法)」です。

今回はもしもの場合に備えて、製造物責任法の定義から要件、事例をご紹介します。

製造物責任法(PL法)とは?

製造物責任法とは

製造物責任法とは、製品の欠陥が原因で、人の生命や身体、財産に損害が生じた場合、製造業者等に対して損害賠償を求められる法律です。“製造物責任”は英語でProduct Liabilityと訳されるため、その頭文字を取ってPL法とも呼ばれます。条文中では、以下のように定義されています。

この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

引用:製造物責任法

製造物責任法が制定される以前は、製造物の欠陥によって事故が起こった場合、民法709条の不法行為規定によって法律上の手続きが行われていました。ただし、この条文によって損害賠償を請求するには、被害者側が加害者に故意・過失があったことを証明しなければなりません。しかし、一般消費者にとって、企業を相手取り、製造上の過失を立証することは極めて困難です。そこで1994年に制定されたのが製造物責任法です。

この法律では、製造業者の過失が要件にならないため、製造物に欠陥があったという事実によって損害賠償を請求可能になりました。つまり、製造業に携わる方は、いつも通り製造していただけであっても、問題が生じた場合は法的責任を負わなければならないのです。

製造物責任法(PL法)の要件

製造物責任法の要件

法律は条文に書いてある文言をそのまま適用するわけではなく、“解釈”する必要があります。製造物責任法の要件について、詳細を見ていきましょう。

「製造物」は不動産とソフトウェア以外の加工物

「製造物」とは「製造又は加工された動産」のことです。したがって、不動産やソフトウェアなどは対象とはなりません。動産とは機械や家具などに限らず、食品や医薬品も含まれます。

また、「修理」は加工に含まれません。その理由として、何かを付加する加工と異なり、修理は元の状態に戻すという点が異なるため、と考えられています。

責任を負うのは「製造業者」だけではない

製造物責任法の対象となり、責任を取らなければならないのは、「製造業者」や「加工業者」だけではありません。「輸入業者」も責任の主体になる可能性があります。

なぜ輸入業者が含まれるのかというと、海外から輸入した製品に欠陥があった場合、責任の所在は海外の製造元にあるため、消費者は訴訟に持っていくのが困難です。このような理由により、「消費者を欠陥のある商品による被害から守るための法律」である製造物責任法では、輸入品の欠陥への責任が輸入業者に課せられます。

また、OEM製品やプライベートブランド製品に欠陥があった場合、製造元だけでなく、供給先の企業も責任を負う場合もあります。

「欠陥」は段階ごとに分類

製造物責任法は、被害者保護の観点から、一般的に無過失責任と言われています。つまり、製造業者に故意・過失が無くとも、「欠陥」があれば責任を負う必要があるのです。欠陥は以下の3つに分類できます。

  1. 設計上の欠陥
    設計段階で問題があり、製品に安全性が欠ける場合。
  2. 製造上の欠陥
    製造・管理段階で製品に材料が混入したり、組立にミスがあり、安全性が欠ける場合。
  3. 指示・警告上の欠陥
    製品を使用するリスクがあるにも関わらず、説明書やパッケージ、製品本体に適切な指示や警告を記載しなかった場合。

消滅時効が民法改正によって変更

「民法の一部を改正する法律」が2017年5月に成立し、2020年4月から施行されます。この法改正に伴い、「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」、通称「民法改正整備法」も同時に施行されます。その内容の中には製造物責任法の改正も含まれています。変更点は以下の2点です。

人身傷害の場合、時効期間が3年から5年に長期化

改正の理由として、人身傷害は財産的な利益と比較すると、保護を強くすべきであり、権利行使の機会を行使する必要性が高い点にあります。また、人身傷害は日常生活を送れないほど深刻な被害の場合、3年以内の権利行使が難しい場合もあるためです。

損害賠償請求権の権利消滅期間は「時効期間」であると明記

従来の法律では、損害賠償を請求する権利が消滅する、最長10年の期間は除斥期間と考えられていました。除斥期間とは、時効で認められる「中断」や「停止」の制度がありません。そこで今回の法改正では、被害者がやむを得ない理由などで損害賠償請求をしなかったケースを想定し、条文中に「時効によって消滅する」と明記したのです。

今回の法改正では、被害者側の権利をより強く保護する、という意図があります。だからこそ、加害者となり得る製造会社側は徹底して安全な製品を提供しなければならないのです。

製造物責任法(PL法)が適用された最新事例

製造物責任法の事例

製造物責任法に触れた場合、どのような判決が下されているのでしょうか。今回は比較的最新の判決事例をご紹介します。

ノートパソコンのバッテリーパックが発火

大手家電メーカーが製造したノートパソコンのバッテリーパックが発火し、男性がやけどをおったケースです。2019年に行われた裁判の判決では「製造物責任法上の欠陥があった」と認定し、男性の慰謝料請求を認めました。事故後の調査で発火した原因を特定できなかったものの、過去に事故が数件あり、リコールの対象にもなっていたため、通常有すべき安全性を欠いていたと推認できると裁判官は述べています。

参考:「PCバッテリーの欠陥認定 パナソニックに賠償命令」日本経済新聞

石鹸の使用で小麦アレルギーが発症

石鹸を使用すると小麦アレルギーを発症するとして、3社の製造会社が集団訴訟を起こされたケースです。2019年に行われた裁判の判決では、「製造物として安全性を欠き、欠陥があった」と製造会社は責任を認めています。一方で「個々の症状は一過性のもので、回復傾向が科学的に裏付けられている」とし、原告からは1人当たり1000万~1500万円の損害賠償を求められていましたが、1人当たり150万~250万円との判決を下しました。

参考:「茶のしずく訴訟で賠償命令 4200万円、大阪地裁」日本経済新聞

トラブルを防ぐために徹底した準備を

上記の事例は、いずれも数年の歳月をかけて裁判を行っていますが、まだ終結していません。一度裁判まで発展すると、多大な時間と費用を要することになります。だからこそ、商品開発や品質管理を徹底して行わなければなりません。この際、開発や設計を入念に行うことで、欠陥は排除できるでしょう。しかし、品質管理は人の目や手で行うには限界があります。そこで活用できるのが産業用ロボットです。

参考記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

産業用ロボットは作業を自動化するための機械装置です。組立や加工、さらには検査などに対応しています。検査の場合は、ロボットビジョンと併用で、品質管理をより徹底できます。

参考記事:ロボットビジョンとは。画像認識で省人化と作業効率の向上を実現

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