Report

レポート

  1. PROTRUDEトップ
  2. レポート
  3. ポカヨケを徹底するためには?事例とともに解説

ポカヨケを徹底するためには?事例とともに解説

ポカヨケを徹底するためには?事例とともに解説

ポカヨケとは、製造ラインの工程内に設置し、作業者のミス(ポカ)を避ける(ヨケる)ための装置や仕組みです。製造現場にとって、ミスは顧客との信頼を壊すだけに留まらず、製品の性質によっては人命にかかわる事態を引き起こす可能性もあります。本記事では「ポカヨケ」について、事例を交えて解説します。

ポカヨケ

工場などの製造ラインで不良品を検出できないまま製品を出荷してしまえば、顧客との信頼を壊すだけに留まらず、製品の性質によっては人命にかかわる事態を引き起こす可能性もあります。したがって、どの企業も「いかに不良品を出さずに工程を完遂するか」を最重要課題として、対策に取り組んでいます。

今回は、不良品を防止するための「ポカヨケ」という仕組みについて、分類方法や実際の事例を交えた詳しい解説をしていきます。

ポカヨケとはヒューマンエラーを避けるシステム

ポカヨケとは

ポカヨケとは、製造ラインの工程内に設置し、作業者のミス(ポカ)を避ける(ヨケる)ための装置や仕組みです。主なポカ要因は、部品の組立や設備装置の操作に対する漏れやミスが挙げられます。どれだけ作業をマニュアル化し、規則・教育を充実させたとしても、ヒューマンエラーのリスクを100%回避するのは不可能といえるでしょう。つまり、作業を構成する人以外の要素に対して、人がミスしにくいシステムを構築するのがポカヨケです。トヨタ生産方式でも重要視されています。

ポカヨケの特徴は、導入前後で作業者の負担を増やすことなく品質向上を図れる点にあります。もしポカヨケが存在しなかった場合、ライン内の製品に対して全数検査をかけなければなりません。検査工程が増えると、時間や人員コストのロスが発生し、結果的に製品の価格競争力が落ちてしまうのです。ポカヨケは初期費用を投資すれば、永続的な運用コストを必要とせずとも、一定の品質向上効果が持続します。

ポカヨケを時系列で分類

ポカヨケの分類

ポカヨケは、「不良をどのタイミングで対策するのか」という時系列に基づくと、不良の発生前・発生時・発生後の3つに分けられます。

発生前対策

事前に製造ラインで発生し得るリスクについて評価・検討を行ったり、製造技術上の原理を利用して、確実に不良発生を防ぐタイプです。物理的に作業ミスが起きない形状の部品設計にしたり、作業者がミスをした時点で次の工程へ進めなくするなどのフールプルーフ設計が該当します。

発生時対策

不良が発生する瞬間もしくは工程の中で、不良の検知や防止を実施するタイプです。例えば、画像認識や光学センサによって不良を検出し、ブザーやランプを用いて作業者に通知する仕組みが該当します。異常発生時に機械を停止したり操作盤をロックするなどの防止策を図る規制式という種類も存在します。

発生後対策

ある工程での不良発生を許し、後工程で検査することでその混入を防止するタイプです。具体的には、製品包装・出荷ラインで完成品の形状に問題がある場合に、自動的に不良品を弾くような仕組みが該当します。

上記の分類で例に挙げたように、他にもポカヨケが物理的な仕組みか電子的な装置か否かで分類したり、検知式か規制式かで分類するパターンもあります。対策したいミスや不良に応じてポカヨケを使い分けると効果的です。

ポカヨケの事例3種類を紹介

ポカヨケの事例

では、実際にポカヨケとしてどのような工夫が行われているのでしょうか。ポカヨケの事例パターンを「識別」・「専用治具の取り付け」・「ポカヨケ機能付きツールの利用」の3種類に絞って、それぞれ紹介します。

識別

識別は、置き場の固定や視覚的な色分け、ICタグやバーコードなどで部品や製品を認識・区別する手法です。

置き場の固定や色分けはちょっとした工夫で簡単に導入でき、ポカヨケ対策としては一番初めに検討すべき内容です。例えば、組立・加工工程では、作業に使用する部品の置き場を固定すれば、誤った部品を組立に使うリスクを低減できます。検品の際は良品を青色のケースに、不良品なら赤色のケースという風に色分けすることで不良品の後工程への流出を防げます。

一方でICタグやバーコードは、デジタルなアプローチのため導入コストは高いですが、製品や部品を電子的に識別可能です。また、加工履歴を保存・管理できるため、生産管理システムと連携すれば、トレーサビリティの観点で絶大な効果を発揮します。例えば、製品が特定の工程を終えた段階で作業者がバーコードの読み取りを行い、作業状況を更新します。もしその工程で作業漏れがあれば、次工程でエラーを通知し、ラインを停止する仕組みにすれば作業漏れを排除できる可能性が高くなります。

専用治具の取り付け

ポカヨケ専用の治具を取り付けて、製品を組立・加工する際に、部品の向きを間違えないようにする手法です。日本の品質工学分野で功績を残した技術者・新郷重夫氏が最初に提案したポカヨケと言われており、工程の流れと一体にしたポカヨケ装置のなかでも特に広く導入されています。

例えば、似ているようで形の異なる部品を本体の左右に組み付ける場合に、うっかり逆付けして不良を出してしまう問題があったとします。ここで治具を工夫し、右には右の部品しか、左には左の部品しか組み付けられないようにガイドピンやジャマ板を取り付ければ、間違えたときに作業が完成しないため、確実に不良を防止可能です。

ポカヨケ機能付きツールの利用

作業に使用するツールに、ポカヨケ用の機能を組み合わせた工具を利用するのも非常に有効な手段です。

例えば、締付けの回数カウントや完了タイミング、規定トルクデータを管理し、無線もしくは有線で外部端末と通信できるトルクレンチなど挙げられます。作業者はデータで自分の作業結果を確認できるため、ミスの発生を大幅に防げます。

他にも、グリスガンやスプレー缶、チェックペンに検印スタンプなど、さまざまなツールに作業状況を可視化する仕組みを施した商品が豊富にあります。総じて、作業の漏れ・忘れに対して効果的です。

ポカヨケ徹底には何が重要なのか

ポカヨケにはさまざまな手段が存在し、技術の進歩によってその精度も高くなっているため、不良を対策することは容易になりました。しかし、本当に課題とすべきは不良の存在ではなく、不良が発生するに至った原因です。ポカヨケをただ導入すればよいと考えるのではなく、「不良がなぜ発生するのか?」と思考しなければなりません。

すなわち、ポカヨケを徹底するには、発生する不良の根本原因を解析し、的確な対策が打つ必要があります。これができるか否かで品質管理に大きな差が出ると言ってもよいでしょう。根本原因分析の手法には、5W1Hの原則に従った「なぜなぜ分析」や、不良に関連する事象を可視化して整理する「特性要因図」や「連関図法」の活用などが挙げられます。

参考記事:【図解】特性要因図は課題解決や改善活動に効果的。種類や書き方を解説
参考記事:新QC7つ道具のひとつ、連関図法とは?活用して現場改善を徹底

ポカヨケは、ヒューマンエラーを前提とした品質向上手法の一部です。今回解説した内容以外にも、「人間に作業させない」という発想から、産業用ロボットを導入することで間接的にポカヨケを実現する考え方もあります。

参考記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

もしロボット活用や現場の課題についてお悩みの場合は、ぜひロボットSIerにご相談ください。問題点の抽出や改善施策のご提案、補助金申請のサポートまで、経験豊富なエンジニアが御社のお悩みを解消いたします。

Contact コンタクト

ITソリューション・テクノロジーサービスの
最適なプランをご提案します