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高速かつ精密な動きを実現!パラレルリンクロボットの特徴や用途、事例を紹介

高速かつ精密な動きを実現!パラレルリンクロボットの特徴や用途、事例を紹介

パラレルリンクロボットは、いくつかある産業用ロボットの中でも比較的新しく生み出されたロボットです。今回は、パラレルリンクロボットが生み出された背景から、構造やメリット、実際の用途などもご紹介します。

「製造現場が抱える課題を解決できる」と注目が集まる産業用ロボット。産業用ロボットにはいくつかのタイプがあり、それぞれ強みが異なります。

パラレルリンクロボットは、いくつかある産業用ロボットの中でも比較的新しく生み出されたロボットです。今回は、パラレルリンクロボットが生み出された背景から、構造やメリット、実際の用途などもご紹介します。

パラレルリンクロボットは産業用ロボットの課題を解消するために生まれた

パラレルリンクロボットが生み出された理由は、これまでの産業用ロボットが抱えていた課題を解消するためです。産業用ロボットは、高い導入コストや運用に手間がかかるといった課題を抱えています。中小企業にとって、導入コストの高さは特に深刻な悩みです。産業用ロボットを導入するためには、ティーチングやメンテナンス、時間や金銭の両面のコスト負担を想定しなければなりません。

パラレルリンクロボットは、こうした課題をクリアにするために開発されました。アーム構造を持つ産業用ロボットには数多くの部品が使われており、複雑な制御が行われています。そのため、関節部分に掛かる負担が大きく、メンテナンスとリペアにコストがかかります。一方で、パラレルリンクロボットには同形の制御部品が多く使われており、ロボットの生産コストを抑えられています。パラレルリンクロボットは、アームを持つロボットに比べ形成する機構が簡易的であり、メンテナンスの点でも優れていると言えます。

高速かつ精密な動作を実現する「パラレルリンクメカニズム」

引用:武田行生・東京工業大学『はじめての精密工学 パラレルリンクメカニズム』(2005)

パラレルリンクロボットは、複数の機構(パーツ)を並列に制御して、最終出力先を動作させる「パラレルリンクメカニズム」を採用しています。他の多関節ロボットは、最終出力先の関節を制御するために、つながっている関節を一つずつ動かしていく「シリアルリンクメカニズム」という構造です。

パラレルリンクメカニズムは、主にモーターとベアリングから構成されているため、構造がシンプルです。多関節ロボットよりも構造が簡素なだけ生産コストが低く、価格が低くなります。また、出力部を複数の機構で制御しているため、高速かつ精密な動作が可能です。

現在はセンサー性能が向上しており、これまで人でしか作業できなかった、小さな差異を検出しながらのピッキング作業も高速で行えるようになりました。

パラレルリンクロボットの特徴3つ

パラレルリンクロボットは、他のロボットと比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。パラレルリンクメカニズムが生み出す特徴は、大きく以下の3つに分けられます。

1.高速かつ精密な動作

複数の機構が並列に配置されていることで、複数のモーター出力が1点に集中され、高出力を生み出せます。この高出力を活かした、高速かつ高精度な作業を得意としており、生産ラインでは材料の選別や整列といった用途に使用されます。軽量な部品を高速でピックできるため、電子基板の作業も可能です。

人の集中力には限度があるため、働いているうちに徐々にスピードや精度が落ちてしまいます。しかしロボットであれば、時間に制限なく作業が可能です。速度と精度を維持しながら長時間稼働できるため、工場の生産能力を高められます。

2.高性能なトラッキング機能

トラッキングとは、コンベアトラッキングのことを指し、ロボットがコンベアを止めることなく搬送・整列させること。高精度のセンサーが生産ライン上の製品を正確に捉えつつ、高速で選別できます。

3.メンテナンスの容易さ

パラレルリンクロボットは機構がシンプル(モーター、ベアリング、アルミパイプ)であり、一つひとつの機構が同じであるケースが多いため、メンテナンスも比較的簡単です。しかし、他の産業用ロボットと同様、メンテナンスには専門知識が必要になります。

用途は限られているが、得意領域では大きな効果を発揮

「高速かつ精密な動作」「高性能なトラッキング性能」といったパラレルリンクロボットの特徴は、どのような作業で活用されているのでしょうか。最後に、パラレルリンクロボットを導入して成功した事例と、用途をあわせてご紹介します。

用途1.食品加工

ホタテ貝の適合選別を行う食品工場では、熟練の作業員が「貝の形が基準を満たしているかどうか」を経験にもとづいて目視で選別し、次の工程への橋渡しも人力で行っていました。しかし、作業員の高齢化にともなって生産効率が低下。生産性向上が急務でした。

そこでパラレルリンクロボットを導入し、基準を満たした貝の選別と次工程へ供給を行わせました。その結果、同じ生産数にかかる人件費を大幅に削減。作業員を半数に削減し、労働時間もロボット導入前の三分の一に短縮しました。

これまで貝の選別に携わっていた作業員を他の業務にまわすことができ、工場全体の人的資源の最適化にもつながりました。

引用:ロボット活用ナビ

用途2.組み立て

パラレルリンクロボットは、組み立て作業でも効果を発揮します。車のトランスミッションに使われるトルクコンバーターを製造する工場でパラレルリンクロボットを導入した工場があります。

トルクコンバーターに「ブレード」という部品を打ち込む作業は、作業員の経験とコツが必要とされ、熟練作業員でなければ作業できませんでした。また、どれだけ熟練スキルを有していても、一つひとつの完成品に小さな誤差が生まれるのは「仕方がない」とされてきました。

そこで、パラレルリンクロボットを導入し、部品のピッキングとブレードの押し込みをロボット化。熟練作業員しか行えなかった繊細な作業をロボットが行えるようになり、生産性の向上と品質の安定化を実現させました。

引用:ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2017

用途3.多種な製品を柔軟に仕分ける

パラレルリンクロボットの高精度な動作は、形状が異なる製品でも柔軟に仕分けることが可能です。これまでの産業用ロボットは、扱う製品が変わるごとに機械本体の改造が必要となり、改造費用が発生していました。

ある化粧品の仕上げ包装を行う工場では、ロボットの調整費用がかさんでいました。取扱製品の種類が多く、形状も異なるため、ロボットをそれぞれの製品に対応させる度に費用がかかっていたのです。

パラレルリンクロボットに搭載されているカメラのトラッキング機能を活用し、多種な製品を柔軟に仕分ける自動生産ラインが確立させました。これまで製品が変わるごとに発生していた調整コストを抑えただけでなく、機器交換に携わる人員を半分以下に削減しましたが、生産量を従来の1.5倍に伸ばすことに成功しました。

引用:ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブック2018

パラレルリンクロボットの特徴を理解して適切に取り入れる

産業用ロボットにはそれぞれ得手、不得手があります。パラレルリンクロボットは優れた速度と精度を持ちますが、軽量物のピック&プレース以外の作業は苦手です。重量物はシンプルな機構上扱うのが難しいため、作業用途は限られてしまいます。

しかし、パラレルリンクロボットが得意とする作業を任せれば、大幅な生産量向上やコスト削減が見込めます。ロボットを使って工場が抱える課題を解決するためには、自社の作業に見合うロボットを導入することが重要です。

他の産業用ロボットの特徴は以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
特徴理解が重要!産業用アームロボット4種類のメリットとデメリット

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