製造業でのテレワークは不可能なのか?新たなテクノロジーを用いた活路を紹介

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製造業とテレワーク

大きな社会問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、業務をテレワークへ移行する企業が以前より増加しました。

しかし、製造業界においては、現場作業が必要な業務をテレワーク化できず、工場の休止・閉鎖を余儀なくされる企業が続出しています。

製造業でのテレワーク導入は不可能なのでしょうか?今回は、テレワーク導入に立ちはだかる課題やその解決策をテクノロジーから制度まで、多面的に解説します。

製造業でのテレワーク導入に立ちはだかる課題

製造業におけるテレワーク

テレワークとは、情報通信技術の活用により、「時間と場所の制約を受けない」遠隔業務を実現する働き方改革のひとつです。これに対して製造業は、「時間と場所の制約を受ける」業務が多いという課題を抱えています。

生産現場は、製品を構成する原材料や部品と、それらを加工・組立する人や機械が物理的に存在することで成り立っています。

近年では自動化設備やITソフトウェアなどによって人が介入せずに済むポイントが増えましたが、それでも技術者が現場にいないと仕事にならない場面が多いのも事実です。

現場での作業を必ずしも必要としない場合がある設計・開発系の業務についても、以下のような課題があります。

  • 企業によってはセキュリティポリシーを遵守するため社外に情報を持ち出せない
  • 大規模データ通信が可能なネットワーク環境を使える場所が限られる
  • 設計・解析ツールの利用に耐えうる高性能PCを使える場所が限られる

つまり、製造業でテレワークを導入しようとしても、他の業種と同じように人事・経理・総務といった事務系の部門までが限界というのが実情です。

課題解決は不可能なのか?

では、将来的に製造業でのテレワーク導入が不可能かというと、そうとは言い切れません。

新たな技術やシステムの導入、労務管理やマネジメントの刷新など、先ほどの課題を解決するための余地は多くあります。

【テクノロジー編】製造業でのテレワーク実現に向けた解決策事例

製造業のテレワーク対策(テクノロジー)

製造業で技術的にテレワークを実現するための事例を2点ご紹介します。

IoTを活用した遠隔業務支援システム

「IoT」は、インターネットを通じてモノやデバイスを自由につなげる技術です。このIoTを活用した遠隔業務支援が、製造業でも普及し始めています。

IoTを活用できる分野は、大きく分けて「遠隔監視」と「遠隔操作」のふたつです。

遠隔監視システムは、PCやタブレットなどを用いて製造工程の進捗状況や機器の故障状況、PLCの稼働状況といったデータを収集します。

これにより、メンテナンスやエラーが発生しない限りは管理者が現場にいる必要はないため、リモートでの運用・保守業務を可能にします。

ほかにも、在庫や仕掛品をIoT機器の上に乗せておくことで重さをデータ化し、在庫量を遠隔から管理できるシステムなど、すでにさまざまなIoTソリューションが提供されています。

参考:「IoTのシステムを活用して仕掛品・資材管理を自動化|金属部品工場 最新IoT導入事例」株式会社スマートショッピング

一方遠隔操作システムでは、遠隔から電子端末を使って、ロボット操作やティーチング、AVG(無人搬送車)の操作を可能にします。

すでにある町工場では、IoTベースの「溶接キット」とクラウドを利用したITシステムを導入し、溶接職人が自宅から作業できるような体制を構築した事例があります。

参考:「町工場が新型コロナでまさかの在宅ワーク導入、IoT溶接機使い職人が自宅で作業」日経クロステック

今後、超高速・低遅延の通信規格「5G」が製造業に普及していけばシステムやデータ通信料が大規模な生産工場でも遠隔操作システムが実現化できる時代が来るでしょう。

関連記事:製造業のIoT化に必要な技術ソリューションを紹介
関連記事:5Gが製造業をどう変えるのか?メリットや業界の動向も解説

スマートグラスを利用した遠隔業務支援

「スマートグラス」とは、ディスプレイをメガネとして装着し、実際に見ている光景にデジタル情報を重ねて映すことができる次世代のインタフェースです。

音声を伝えたり、画像認識で手や指を使った情報操作が可能なタイプも存在し、今後広い分野に活用される可能性を秘めています。

製造業では、熟練工がスマートグラスを着用した作業者に遠隔で指示したり、遠隔にいる設計者同士が設計図面などをやり取りするといった活用例が挙げられます。

現在さまざまな電子機器メーカーが業務用スマートグラスの開発に着手しており、5Gとともに、スマートグラスを用いた遠隔業務が普及するでしょう。

参考:「AR匠」株式会社アウトソーシングテクノロジー
参考:「Ubimax」株式会社アウトソーシングテクノロジー

【制度編】製造業でのテレワーク実現に向けた解決策事例

製造業のテレワーク対策(制度)

制度面から、テレワークを実施しているメーカーの取り組み事例を3社ご紹介します。

カルビーの「テレワーク・デイ」

カルビー株式会社は、2017年4月よりモバイルワーク制度を開始し、同年7月24日には本社勤務者全員を原則モバイルワークとする「テレワーク・デイ」を試験的に実施しました。

「テレワーク・デイ」実施の結果、利用者の約7割が業務効率が向上したと回答しています。これ以降、ライフワークバランス向上や災害など非常時への備えも含め、テレワークが可能な勤務制度が整備されていきました。

参照:「テレワーク・デイ結果報告」カルビー株式会社

味の素の「どこでもオフィス」

味の素株式会社は、2017年4月より自宅やサテライトオフィスでの勤務を可能とする「どこでもオフィス」を導入しています。

制度実施にあたり、テレワーク導入に欠かせないセキュリティの強化はもちろん、PC稼働時間やインターネット・アクセスログからサービス残業防止を図れるようにしているとのことです。

さらに現在では、生産現場でも「どこでもオフィス」を採用するため、現場でできる作業とそうでない作業の仕分けや、遠隔業務を支援するIoTの活用などが進められています。

参照:「味の素が目指す究極のテレワークとは いつでも、どこでも、誰でも、自由に働ける『どこでもオフィス』」JBpress

日立製作所の積極的なテレワーク支援

株式会社日立製作所は、新型コロナウイルスの影響から社会の常識が変わることを見据え、幅広い職務で在宅勤務(テレワーク)の活用を標準とした働き方を推進すると表明しています。

同社は感染予防対策に必要な品や在宅勤務に必要な備品にかかる費用への補助といった目下の対策に加え、ジョブ型人財マネジメントへの転換やIT環境の整備などの中長期的な対策を打ち出しました。

参照:「ニュースリリース:2020年5月26日」株式会社日立製作所

テレワークで未来の働き方を変えていく

今回ご紹介したように、技術的支援と企業制度の整備が組み合わされば、製造業でのテレワークは実現可能です。

生産工程にかかわる人員へのテレワーク適用はいまだ困難な状況ですが、在宅勤務に対するガイドラインや労務管理のノウハウを蓄積する企業は増えています。今後、技術的進歩があれば希望は見えてくるでしょう。

現在、生産工程の自動化を実施できていない中小企業は、IoTソリューションの導入や産業用ロボットを活用した省人化を検討するのも良いかもしれません。

関連記事:IoT導入を成功させるための注意点とポイントを紹介!
関連記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

今回の新型コロナウイルスをひとつのきっかけとして、テレワーク導入に向けてできることをひとつずつ進め、積極的に働き方改革へ向けた取り組みをしていきましょう。

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