国際基準を日本語訳した規格。ISOとJISの違いを解説

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労働力の確保や作業効率の向上に向け、産業用ロボットの導入を検討している企業が年々増加しています。ロボットの導入にともない怠ってはいけないのが、作業員の安全を確保するためのルール、「労働安全衛生法」や「労働安全規則」の遵守です。

作業員の命を守るためには、こうした法律や規則の遵守は当然ですが、ISOやJISといった安全規格の理解と徹底が必要です。今回は、ISOとJISについて、基礎知識や違い、定められた背景について解説します。

ISOとJISの違いは?国際基準を日本語訳した規格だった

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産業用ロボットの活用には常に危険が潜んでいます。産業用ロボットの危険性は、作業員が産業用ロボットの稼働範囲内に立ち入ったことでマニピュレータに挟まり、命を落とした過去の事例からも伺えます。産業用ロボットを安全に活用するために、さまざまな法令や規格が整備されています。

ISO規格とJIS規格は、製造業で働く人の安全を守るための規格です。まずは、それぞれの規格の詳細についてご紹介します。

国際基準を規定している「ISO」

ISO(International Organization for Standardization/国際標準化機構)とは、国際的に通用させる規格や標準類を制定するための国際機関です。ISOは製品やサービスの国際交換を容易にすること、また科学や技術、経済などにおけるさらなる発展を目的にした機関であり、スイスに本部を設けています。この機関により定められている規格が、「ISO規格」と呼ばれています。

国際規格を日本語訳した「JIS」

JIS(Japanese Industrial Standards)は、日本の工業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格(日本工業規格)です。鉄工業生産、販売、使用に関する技術的な物事に対して定められている規格であり、認可された製品にはJISマークが付けられています。

たとえば、私たちはどんなメーカーの乾電池であっても問題なく使用できています。これはJISによって乾電池の大きさなどが定められており、互換性が確保されているからです。また、強度についても一定の基準が設けられており、JISマークが付いているだけで「品質や安全性が高い」という証明にもなります。

産業用ロボットも同じく、一定の規格を満たしたものであれば、安全柵を必要とせず活用することができるのです。

ISO規格とJIS規格の関係性

ISO規格とJIS規格はいずれも土木及び建築、管理システムなど分野に応じたアルファベットと数字が付けられています。(例:ISO10218-1/JIS B 8433)

JIS規格は外国語で作成されているISO規格を日本語に訳したものです。そのため、内容も国際的基準であるISO規格に準拠しており、ISOとJISによる規格内容の違いはありません。

各国が国内規格を制定しており、またISOといった国際規格が既にある場合は、整合させることが協定により義務付けられています。そのため、番号が同じであれば内容自体は同じといって問題ありません。

安全規格が定められた理由は、円滑な国際貿易を実現するため

ISOとJISが定められた背景には、世界各国で円滑な国際貿易を実現しようとした目的があります。

これについては1967年にEC(欧州共同体)が発足した後、1991年にISO、1996年にIEC(国際電気標準会議が制定する国際規格)とEN規格(欧州規格)の整合性が図られたことが始まりでした。各国独自の規格をISO規格/IEC規格に適合させることで、同じ基準の製品を輸出入することが可能となったのです。

ISO規格とJIS規格制定の流れを踏まえた年表を簡単にご紹介します。

国際 国内
1995 WTO発足
TBT協定制定
製造物責任法 施行
2000 IEC615082001  
2001   機械の包括的な安全基準に関する指針
2003 ISO12100 1/2  
2004   JIS B9700 1/2
(ISO12100 1/2)
2006 ISO 13849-1:2006 労働安全衛生法 改正
2007   機械の包括的な安全基準に関する指針 改正

2010
ISO 12100:2010
ISO 13855:2010
 
2011   JIS B9705-1:2011
(ISO 13849-1:2006)
プレス機械又はシャーの安全装置製造規格 改正
2013   JIS B9700:2013
(ISO 12100:2010)
JIS B9715:2013
(ISO 13855:2010)

参考:安全規格の歴史

産業用ロボットにまつわる安全規格を確認

あらためて改正された「労働安全規則」の内容を見ると、産業用ロボットの規格として“ISO10218-1:2011及びISO10218-2:2011”というものが挙げられています。

SO10218-1(JIS B 8433-1)
ロボットの設計や製造において、安全性をどのように保証するか検討するための手引きとされ、リスク除去の要求事項について記載
参考:JIS B 8433(ISO10218-1)

この規格については、協働ロボットにまつわる4つの安全機能が当てはまります。これらの機能を有して初めて、「協働ロボット」として使用することができます。以下に、主な要求事項をご紹介します。

  • 安全適合の監視・停止
    作業員が協働作業空間にいるときは停止しなければいけない。(離れた場合は自動運転に復帰してもかまわない)つまり、ロボットは人の存在を検知する機能を持つ必要が生じます。
  • ハンドガイドの機能要求
    ハンドガイドにあるイネーブル装置が人の手動操作で動かすことができる。
  • 速度および間隔の監視
    ロボットは決められた速度、また作業員との間隔を保つ。
  • 本質的設計または制御による動力および力の制限
    作業員に怪我をさせないよう、制限された動力を有する。

また、追加で改定されたJIS B 8433(ISO10218-2)により、協働ロボットの導入が可能となっています。ここでも、主な要求事項をご紹介します。

ISO10218-2(JIS B 8433-2)
ロボットインテグレーション、設置、機能試験、その他各安全防護の指針について記載
参考:JIS B 8433(ISO10218-2)

  • 作業制御装置
    起動及び再起動の制御機器は、安全防護空間外に配置し、手動で操作されなければならない。
  • 制御装置の位置
    オペレータは、各制御位置から、安全防護空間内に誰もいないことが確実に確認できなければならない。
  • 存在検知
    これが現実的でない場合には、安全防護空間のいたる所にオペレータを検知するための存在検知を備えなければならない。

参考:機能安全活用実践マニュアル ロボットシステム編

産業用ロボットの導入には、安全対策が最重要

産業用ロボットの導入は、便利なことばかりではありません。安全対策を怠ってしまえば、作業員が事故にあったり、企業の信用低下につながったりする可能性があります。産業用ロボットを安全かつ効果的に活用するためのルールを確認し、安全対策を行いましょう。

産業用ロボットはこうしたリスクも有しているものの、工場の自動化を実現し、生産性の向上や人件費の最適化が行えます。産業用ロボットにはいくつかの種類があり、型に応じて得意な作業や活用時の注意点が異なるため、それぞれの特徴をおさえた上で導入を検討してみてください。

関連記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

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