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ECRSで現場改善を徹底。改善の4原則とは?

ECRSで現場改善を徹底。改善の4原則とは?

近年の製造現場では人手不足が顕著になってきています。より効率的に製品を生産するために役立つフレームワークが「ECRS」です。実際にECRSをどのように活用すればいいのか、詳しく解説します。

業務効率の改善は製造現場に限らずあらゆる業界、職種において課題のひとつです。近年の製造現場では人手不足が顕著になってきており、さらにはグローバル化で海外の工場とも比較されるようになっています。この状況下で生き残るためには、より効率的に製品を生産する必要があります。

しかし、求められる製品が変化するスピードも早く、従来どおりの方法では限界が来ることもあります。つまり、効率的な生産のためには現場を常に改善していかなければなりません。そこで役立つのがECRSというフレームワークです。

今回はECRSとはどういったフレームワークなのか、実践ではどのように活用すればいいのかといった点について解説します。

ECRSとは?4つのステップで業務効率の向上

「ECRS(イクルス)」とは生産管理においてプロセスの改善を4つの視点と順番で行うためのフレームワーク・原則です。Eliminate(取り除く)、Combine(繋げる)、Rearrange(組み替える)、Simplify(簡素化する)というステップで工程や作業を見直します。

ECRSの効果は、業務改善に適用することで効率的に改善や、ムダなトラブルを最小限の防止につながる点です。ECRSは4つのステップの頭文字から来ており、「改善の4原則」とも呼ばれています。

「5W1H」や「MECE」などと同じように、作業全体を見直し、問題点を見つけ出す手掛かりとなる手法です。このフレームワークは製造現場で用いられていましたが、あらゆる業種での業務改善にも活用されています。それでは、ECRSの4つのステップについて解説します。

ステップ1.Eliminate(取り除く)

まずはムダな業務を取り除けないか、という点を検討します。日常的に当たり前だと思っていた業務でも、よく考えてみると取り除いても大丈夫な作業や工程は意外とたくさんあります。

生産現場では加工・検査・測定の工程において複数の作業が行われていますが、従来では行われていた作業であっても、新たな方法やツールが導入されたことで不要になっているケースは多々存在します。たとえば検査報告を行う際、データ上に記録しているにも関わらずわざわざ口頭で説明していた場合、口頭での説明は省いても支障はありません。

業務を取り除くだけなので、費用がかからず、人的コストもあまりかけずに効率性の向上が見込めます。また、実行へのスピード感もあり、時間の短縮が図れます。

ステップ2.Combine(繋げる)

ムダな業務を取り除いた次に検討するのが、ふたつ以上の業務を統合できないか、という点です。次々と新たな業務が生まれていく中、これまであった業務との兼ね合いや、内容の重複については、検討されることはあまり多くありません。

たとえば、別々の作業者が行っていた加工をまとめてひとりで担当させる、ライン別に配置していた検査作業員を工程単位で配置する、などです。

内容が類似する業務を結びつけ、業務をまとめることで、個人が必要とするスキル数も減少するため、作業者それぞれが業務に集中できます。場合によっては結合だけではなく、分離する、という方法も考えられます。

ステップ3.Rearrange(組み替える)

3つ目のステップが工程・作業の順番を組み替えたらどうなるか、の検討です。業務の方法や作業順序、作業担当者や作業場所など、組み替えられる要素は数多くあります。つまり、Rearrangeとは作業を最適化できる順番に置き換え、業務を再設計するステップです。

加工後行っていた塗装を前に持ってくる、機械のあった場所を変更し、より効率的なラインをつくる、などが例として挙げられます。このステップによって、作業量の軽減や製造物の品質の向上につながります。

ステップ4.Simplify(簡素化する)

ECRSにおける最後のステップが、複雑な工程や業務をよりシンプルにするための作業です。簡素化することでどんな作業員でも作業やその工程を理解でき、ミスの防止につながります。

たとえばデータの入力を自動化する、書類のテンプレートを準備する、などです。最初のステップ「Eliminate」のでは廃止されなかった業務や工程を最適化する改善施策です。この簡素化は工程の分析ではなく、よりミクロな作業段階分析で行うとよいでしょう。

ECRSの実践的な活用方法を解説

上記4ステップを踏むことで業務の改善が図れます。それでは、ECRSを製造現場でどのように活用すればよいのでしょうか。

まずは改善する対象の業務プロセスをピックアップします。すべての業務を一度に取り上げると考えるべき事項が多くなるため、ひとつひとつの工程を精査しましょう。この際、選んだ工程・作業が自社に生み出している価値、貢献を定義しておきます。なぜなら各工程をステップごとに見ていく際の指針となるからです。

まずはEliminate(取り除く)です。その作業工程がなくなったらどうなるのか?あらゆるケースを想定します。この段階では取り除いていいのかどうかわからない作業は残しておきましょう。

次にCombine(繋げる)に移ります。この作業は必要だけど、あの作業と一緒に同時にできないか?いくつも組み合わせてみることで、通常の作業時では気づかなかった視点を得られるかもしれません。

そしてRearrange(組み替える)です。作業員、工程の順番、機械の配置などを組み替えてみます。この際に再び取り除けたり組み合わせる工程が現れる可能性があるので、その際は再びEliminateやCombineのステップに立ち返ってみましょう。

最後はSimplify(簡素化する)です。これまでの方法にとらわれず、作業が簡単でわかりやすくならないか検討します。場合によっては新たな機械やツールの導入も検討しましょう。

以上の施策を検討し、導入して終わりではありません。その後は施策を検証・評価し、このままでいいのか、別の有効な方法はないのか調査し、実行していきましょう。

現場改善は長期的な視点で

ECRSのように、業務改善を図るフレームワークや考え方は他にも数多くあります。しかし重要なのは「施策の導入」ではなく「業務成果の向上」「コストダウン」の達成です。目的と手段が入れ替わってしまわないように注意する必要があります。

また、現場改善は長期的な視点で行わなければなりません。短期的な利益を追い求めると、作業員の疲弊や新たな製品の開発・製造が行えなくなる可能性があるからです。

近年の製造現場では産業用ロボットが活躍しています。産業用ロボットの導入によって作業の自動化や効率化、工程の省略化・省人化が可能です。導入時のコストは決して低いとはいえませんが、長期的な現場改善には絶大な効果を発揮します。ここ数年では、比較的安価なロボットも台頭しているため、検討してみてはいかがでしょうか。

参考記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

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