目的にあわせた柔軟な組み合わせが魅力!直交ロボットの特徴とは

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「製造現場が抱える課題を解決できる」と注目が集まる産業用ロボット。産業用ロボットにはいくつかのタイプがあり、それぞれ強みが異なります。

今回ご紹介するのは、「直交ロボット」。「ガントリーロボット」とも呼ばれており、2〜3のスライド軸で構成されるシンプルなロボットです。本記事では、直交ロボットの構造や特徴、実際の用途にも焦点をあてて解説します。

シンプルな構造から生まれる柔軟性

直交ロボットは、単軸直動ユニット(直線的なユニット)を組み合わせた構造をしています。可動範囲は直線に限られるものの、ユニットの組み合わせは自由度が高く、状況に応じた設計が可能です。小さな部品の組み立てや半導体の検査、薬品のピッキング、製品の搬送など、様々な作業をこなします。重量物やサイズの大きい部品も搬送可能です。

頑強で大きなアームを持った垂直多関節ロボットとは異なり、旋回するような動きはできませんが、直交ロボットは縦と横の直線的な動きによる細かな作業が得意です。例えば、半導体の検査では、緻密な動きにより人の手以上の効率で作業を行います。直交ロボットは、高速な作業を継続的に行いたい状況に適していると言えるでしょう。

直交ロボットの大きな強みは、他のロボットとの併用が可能な点です。直交ロボットと単軸ロボットを併用し、その動作を1台のコントローラーで制御することもできます。

ロボットアームを持つ垂直多関節ロボットは、緻密な制御が求められます。直交ロボットには複雑な制御がなく誤作動が起こりにくいため、人身事故も起こりにくいと言われています。また、低出力で広範囲の動作も可能といった、他のロボットにはない独自の特徴を持ちます。

直交ロボットの特徴は?組み合わせの多彩さと高速かつ繊細な動作

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他のアームを持つ産業用ロボットとは、大きく異なる直交ロボット。これまでにご紹介してきた直交ロボットの特徴をより詳しく解説し、直交ロボットの優れた点を解説します。

シンプルな構造で柔軟な組み合わせができる

直交ロボットは複雑な動作ができませんが、作動領域内の動作はブレが少なく、高精度な点が魅力です。どのロボットでもロボット単体を動かすことは可能ですが、直交ロボットは複数のロボットを同時に動作させられます。同一ライン上で、精密な作業は垂直多関節ロボットが行い、搬送は直交ロボットが担う、といったシステムを構築できるのです。ロボットそれぞれの特徴を活かしたシステムを構築できれば、生産効率は大幅に上昇します。

また、デュアルドライブ(同種類の単軸ロボット2軸を同期させること)制御を応用して、重量物やサイズが大きい製品の長距離搬送もこなせます。大型製品を扱う工場では、活用の幅が広がるでしょう。

限定された動作を生み出す「高速かつ正確な動作」

直交ロボットが高速かつ正確な動作を行える理由は、構造がシンプルで剛性が高いからです。自由な動きを生み出すロボットアームを持たないため、ロボットを構成するパーツ軸が少なく、剛性が高くなります。単純な動作だからこそ作業を高速化でき、誤動作が起こりにくくなることも特徴の一つ。「作動領域が直線のみ」という点は、一見デメリットのように見えますが、直交ロボットの強みにもつながっているのです。

生産コストが低いことによる「低価格」

直交ロボットは構造が簡単なので製造コストが低く、他の産業用ロボットと比べて価格が控えめになります。工場の生産ラインに補助的な役割で導入したり、本格的な自動化を始めたりする場合でも、高価格になりにくい点が特徴です。

同種のロボットを複数組み合わせることができ、高額なロボットを単体で導入するよりも高い生産性を生み出します。コンパクトで低価格なものから、重量搬送や長距離搬送に適したものまで、幅広く設計されています。組み合わせ次第で多くの用途に活用できるため、金銭的なコストを憂慮している企業にとって、比較的導入しやすいロボットの一つです。

限定的な動作にもかかわらず幅広い用途で活用される

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直交ロボットは「柔軟な組み合わせ」「高速かつ高精度な動作」といった特徴を活かして、どんな作業を行っているのでしょうか。実際に、直交ロボットが導入されている事例を紹介します。

用途1.ハンドリング・検査・搬送(製造業)

直交ロボットを導入し、計量から接着、バリ取りまでの各工程をロボット化した筆の生産工場があります。この工場では、職人の高齢化や需要の低迷といった課題を抱えており、生産コスト削減が急務となっていました。

そこで、作業が比較的簡単な筆の生産ラインを直交ロボットによって自動化。切断や仮付け、接着などの工程をロボットが行うようになりました。ロボット導入後の労働生産性は、約30倍も上昇。自動化した作業にかかわる従業員を6名から2名に削減したことに加え、人手が必要な作業工程に人材をまわせたことにより、生産性向上と短納期化の両立を実現させました。

引用:ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブック2018

用途2.ハンドリング・搬送

ある工場では、小売店向けの釣り銭包装作業に垂直多関節ロボットが使用されていました。しかし、ロボットが毎日2,500回も稼働しており、関節に大きな負担がかかっていました。その影響で、ロボットが一斉に停止するエラーが起こり、著しい効率低下が頻発。このエラーを回避するためのメンテナンスにもコストがかかり、耐久性と実用性の点で課題を抱えていました。

この課題を解決するために、多関節ロボットから直交・単軸ロボットに仕様を変更し、エラーの原因となる関節部分の負担を軽減しつつ、1回の稼働速度が5秒も改善しました。その結果、年額1,500万円ほどのコスト削減を実現。さらに、エラー故障を解除する作業時間も大幅に減少し、作業員のストレスを低減したことも導入のメリットといえます。

引用:ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブック2018

用途3.成形・加工

直交ロボットは、6面切削鋼材の加工でも効果を発揮しています。本事例でご紹介する工場では、機械を1人1台使って切削加工と面取り加工を行っていました。6面切削鋼材は多くのサイズがあり、一つひとつのサイズに合わせて切削面の面取りを行うためには、熟練作業員の手作業が必要不可欠でした。

そこで、直交ロボットと精度の高いセンサーを組み合わせて、鋼材のサイズに合わせながら加工ができるシステムを構築。これによって生産性は2倍に向上し、品質の向上にもつながりました。

引用:ロボット実証事業事例紹介ハンドブック2016

直交ロボットの特徴を理解して効果を最大限に引き出す

産業用ロボットの導入は、現場の課題を解消し、生産性を高めてくれます。垂直多関節ロボットや水平多関節ロボットなど、多くの種類があるロボットの中でも、直交ロボットは、金銭コストで導入しやすいロボットです。

組み合わせ次第で柔軟な作業ができる直交ロボットですが、直線的な動作しかできないなど、制限も多くあります。生産性向上といった目的を達成するためには、どのロボットが最適か事前にしっかりと検証してから導入することが大切です。

他の産業用ロボットの特徴は以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
特徴理解が重要!産業用アームロボット4種類のメリットとデメリット

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