製造業におけるBCPの重要性を解説。非常事態にどうするべきなのか

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製造業のBCP

COVID-19(新型コロナウイルス)による企業への影響は製造業界にも広がっています。このような突如発生する非常事態に対応するため、「BCP(事業継続計画)」の重要性について再認識する必要があります。

今回は、BCPについて、サプライチェーンに関連する製造業における重要性、2011年の東日本大震災での具体例を交えて解説します。

BCPとは緊急事態発生時の計画

BCPとは

BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)とは、自然災害や事故など不測の事態が発生した際、事業を早期に復旧させるための対応方法や組織を事前に取り決めておく計画です。また類義語として、緊急時の初動計画を表すコンティンジェンシープランという言葉もあります。

企業に打撃を与える非常事態は一定の頻度で起きており、近年では2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、そして2020年現在、流行中のCOVID-19(新型コロナウイルス)などが挙げられます。

立て続けに発生する緊急事態を受け、大企業はもちろん、中小企業にもBCP策定の取り組みが少しずつ普及しています。

BCPは単なる防災対策ではなく、被害発生後でもサービスを維持しつつ、許容される期間内で事業を復旧できるような内容でなければなりません。具体的には以下の観点で策定にあたる必要があります。

  • 被災が事業に及ぼす影響を具体的に想定できているか
  • 主要な事業所や設備が被災・喪失した際の事業継続が可能か
  • 製品・サービスごとに目標復旧時間の優先度が適切に設定されているか
  • 従業員の安全確認手段が確保されているか
  • BCPの訓練方法ならびに結果のフィードバック手順が確定しているか

BCPを効果的に策定・運用すれば、事業継続力を得ると同時に、それが周囲から評価される意味でも大きなメリットとなります。

自社ホームページなどでBCP内容を対外的に公開すれば、サービス対象となる顧客からの信用維持や、取引先となる市場関係者や株主からの評価向上につながります。

製造業におけるBCPの重要性

製造業には、原材料・部材の調達から最終製品の出荷工程にいたるまで複数の工場・企業が連携し合い、サプライチェーンを形成します。

仮に非常事態が発生したとして、大手企業のサプライチェーンの一員がBCPを策定していないことで、グループ全体に重大な影響を与えかねません。

2007年の新潟県中越沖地震によって、自動車エンジン部品のトップメーカー所有の工場が被災したため、国内の主要自動車メーカーが軒並み操業を停止した例もあります。

サプライチェーンのわずか一企業でも操業が停止すると、市場が必要とする製品の供給が困難になる可能性もあるのです。

2009年に世界的に流行したH1N1亜型インフルエンザウイルスの影響を受けて2013年4月に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)」では、社会機能維持に必要な特定業種として、医薬品と食料品の製造業が指定されています。

市場経済のみならず、国民の生活に不可欠な供給責任を果たすためにも、製造業におけるBCPは重要です。

参考:「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく 特定接種の登録について」厚生労働省

製造業におけるBCPの策定ポイント

BCP策定のポイント

製造業に属する企業がBCPを策定する場合、ソフト面・ハード面・スキル面に分類すると以下の対策が挙げられます。

【ソフト面】
  • 平時の運用計画策定・運用
  • 有事のコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)策定
  • 情報の共有化のためのデータ保全方法策定
  • 社員の自宅や事業所、工場などの地理的把握
【ハード面】
  • 重要設備の耐震補強
  • 緊急用の在庫備蓄
  • 他拠点の自社工場や他地域の協力会社、同業他社による代替生産
  • 技術や部品・素材及び設備等の標準化
【スキル面】
  • 設備点検・修理能力の向上
  • 作業員の多能工化

こうした対策を実現するためには、企業全体への周知・教育徹底や、BCP地震補償保険や水害保険への加入、BCP向けに低金利の融資へ切り替えるなどのアプローチも必要です。

BCMによる企業内のBCP認知も重要

BCPを策定しても、緊急事態が起こった際に活用されなければ意味がありません。そこで重要になるのがBCM(Business Continuity Management)です。

BCMとは、策定したBCPを活用するためのマネジメント全般です。計画に沿ったマニュアルの作成や、従業員への意識の浸透などが挙げられます。

東日本大震災時のBCP事例

BCPの事例

今回は、日本に甚大な被害を与えた東日本大震災時を参考に、当時の企業がBCPでどのように活用したのかについてご紹介します。

情報収集・安否確認

東日本大震災で多くの企業に壊滅的なダメージを与えたのが大規模な津波です。

ある企業の事業所では、地震発生後に非常用発電機を用いてテレビやラジオから二次災害情報を収集し、近隣の高台に社員全員を避難させることに成功しました。

一方大手電機メーカーは、災害時に通信混雑を想定し、独自の方法を事前に構築していました。

この方法は、「震度5強以上の地震があった場合には能動的に本社へ連絡をする」という指令およびシステムで構成されます。

通常の一斉送信による安否確認システムと異なり、1方向のアクションに簡素化することで、この企業は時間以内にほぼ全社員の安否確認に成功しました。

上記の企業は結果として、重要な事業リソースである人を守り、操業再開を早期に実現できました。

BCP発動の根底となる安全確保のため、事前の情報収集と安否確認は第一に重要だとわかる事例です。

ワーキンググループの設置

ある化学メーカーは、サプライヤーや熱供給会社が被災したことで、製造工程に必要な原材料やスチームの使用が制限される苦境に立たされました。

この状況に対して打たれたのが、調達困難な製品や現地生産が困難な製品などを分類し、それぞれに「ワーキンググループ」を設置するという方法です。

各グループには社内の購買部・営業部・生産部などの関係部門が振り分けられ、BCPで定められた優先度に応じて柔軟な対応が行われました。

組織内外との連携

組織内連携や地域内での連携だけでなく、企業同士の垣根を超えた連携が復旧に一役買ったと言われています。

特に多かったのが、被災した社屋や工場の修理に建設会社への協力要請や、IT企業への社内システムの復旧依頼といった連携です。

ある電機メーカーでは、震災の翌日には復旧工事の段取りをつけ、建設会社に生産設備の修理を依頼し、早期事業再開を実現しています。

ただし、協力関係を構築する企業と事前にすり合わせておかなければ、即時に対応に当たってもらえない可能性があります。

どの企業に助け舟をもらうかは、BCPで決めておくことが重要です。

参考:「総検証BCP 東日本大震災を生き抜いた16社の証言 | 誌面情報 vol28」新建新聞社

BCPは自社と社会を守る

BCPは、非常事態への備えとして自社を守る手段です。同時にBCP策定の有無は、事業継続力という指標として市場における評価対象にもなります。

製造業においては、社会機能の中核を担うサプライチェーンを保護するためにもBCPは重要です。

平成30年の経済産業省調べによれば、76.2%の大企業がBCPを策定しているのに対し、中小企業はわずか27.0%という結果が出ています。

今後はBCPの有無をビジネスの条件とした時代がやってくるかもしれません。

参考:「製造業のBCP策定促進に向けた取り組み」経済産業省 製造産業局 総務課

自社の事業や市場競争力、ひいては社会全体を守るためにも、BCP未導入の企業は策定を検討したり、導入済みであっても内容の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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